見落としがちな防災備蓄品-工具編-
防災備蓄品といっても様々な品目があります。真っ先に思い浮かぶのは食料・水、次いでトイレや毛布ではないでしょうか?
実際、レスキューナウへご相談いただく中でも食料・水についてのご相談が特に多くあります。
しかし、意外と見落としがちなのが工具類です。
この記事では、食料・水・トイレ・毛布以外に備えるべき防災備蓄品は何か、紹介します。
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【アンケート調査】食料・水・トイレ・毛布以外を備えている割合は約70%
皆様ご存じの通り、日本は災害大国です。各家庭はもちろん、企業においても3日分の防災備蓄を備えるよう、条例やガイドラインで定められています。
そこでレスキューナウでは、企業の防災担当者様へ「防災備蓄として何を備えているか」アンケート調査いたしました。
「食料・水を備蓄している」「トイレ、毛布を備蓄している」の回答がそれぞれ75%以上あり、ほとんどの企業で食料、水、トイレ、毛布を備蓄しているという結果となりました。
これは、帰宅困難者を3日間社内待機させることを想定し防災備蓄されている、と読み取れます。
「3日分」の防災備蓄を備えるべきと言われる理由と実際の備蓄日数調査についてはこちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
また、「上記以外の防災備蓄品も備えている」の回答は57名(68%)あり、衛生用品、ヘルメット、工具などが該当すると考えられます。
※この結果は備蓄品のウェビナーに参加されるような防災意識の高い企業の担当者様を中心とした回答者で構成されており、他のアンケート結果と傾向が異なる可能性があることをご留意ください。
徒歩帰宅・社内待機以前に避難・救助はできるか?
食料、水、トイレ、毛布は発災時にインフラが復旧するまでの間、社内待機や徒歩帰宅する際に必要な備蓄品です。
ところで皆さん、
もし社内で閉じ込めや下敷きといった事故が発生した時のことを、想像したことはありますか?
自社が、自分が、同僚が、被災して避難や救助する想定を十分検討されているでしょうか?
「自助、共助、公助」という言葉を聞いたことがあるかと思います。大災害時にはまず自分で自分を助け、次に同僚や近隣で助け合い、最後に公の救助を待つことが過去の事例からも明らかになっています。
大災害時は消防や警察に一気に通報が押し寄せ、対応リソースが不足します。限られたリソースは緊急に対応すべき場所(災害弱者のいる場所など)にトリアージされますので、大人がいる企業等にはなかなか救助がこない可能性もあります。
その場合、少しでも早く周囲と協力しながら可能な範囲で救助と避難をして安全を確保するための備蓄品を備えることも大切です。
例えば、安全に避難・誘導するためのヘルメットやメガホン、脱出・救助するためのバールやハンマー、ジャッキといった工具、救助がくるまでに応急処置をする救急用品など。考えられるシーンはたくさんあります。
次の章では、シーン別にあると望ましい防災備蓄品を紹介します。
シーン別 あったら助かる工具類の防災備蓄品
同僚が什器の下敷きになった
オフィス、工場等にはキャビネットや資材ラックなど重い什器がたくさんあります。それらの下敷きになると人の力では持ち上げられないかもしれません。
重い什器を持ち上げ救出するために、バールやジャッキの備蓄をご検討ください。また二次災害防止のため、救助側にもヘルメットや手袋、ゴーグルといった安全保護具が必要です。
▽バール、ジャッキ等の工具セット
怪我をして歩いて避難できない
負傷によっては歩いて避難するのは非常に困難ですし、避難が遅れてしまう可能性もあります。そんな時は担架を活用して安全に避難してください。折りたたみ式や、不織布製のコンパクトな物もあります。
備蓄が難しい場合は、車輪付きのイスに負傷者を乗せて短距離を移動したり、丈夫なホウキやモップの柄などの長い棒と毛布や衣類を使って応急担架にする方法もあります。
▷折りたたみ式担架 | レスキューナウ防災備蓄品オンラインショップ
▷四つ折り担架 | レスキューナウ防災備蓄品オンラインショップ
また、災害時にエレベーターは使用できません。階数が多いオフィスでは着席した状態で負傷者を階段昇降できる「階段避難車」を使用するのも手です。
▷電動式階段昇降機 UD-CHAIR | レスキューナウ防災備蓄品オンラインショップ
天井、蛍光灯、空調設備が落下してきた
什器や備品が転倒してきた
例えば地震発生時に即座にヘルメットを被るのは難しいかもしれませんので、机の下に潜ったり、カバン・上着・ファイル等で頭を守ってください。
その後、避難、救護、復旧活動にあたる際、発災時には耐えたものが余震等で転倒、落下してくる可能性があり危険です。特に天井パネルの破片は鋭い断面になることがあります。必ずヘルメットを着用し身の安全を確保しながら作業にあたってください。
最近では、コンパクトな折りたたみヘルメットもあります。備蓄スペースに悩んでいる担当者の方にオススメです。
ドアが歪んで開かない・電子キーが停電で開かない
ドアが歪んで開かないような場合には、ドアをこじ開けて、または近くのガラスを叩き割って脱出するためにバールやハンマーがフロアに1本ずつあると安心です。
特に最近はカードキーで施錠・開錠するケースも多いかと思います。停電時にどのような状態になるか、設置メーカー等に問い合わせをお勧めいたします。
もし停電時に施錠となる場合は、状況により破壊しなくてはならないかもしれません。ドアノブや蝶番部分にバールを当ててハンマーで叩き隙間を作ったり、バールでこじることで開けられるかもしれません。
社用車でアンダーパスの水溜まりに進入して車内に閉じ込められた
車が浸水すると、水圧でドアが開かず脱出できなくなってしまいます。JAFによるアンダーパスでの浸水を想定した実験では、後輪が浮いた状態ではドアを全く開けられない結果となっています。車外からも水圧でスライドドアが開けられないなど、車外からの救出も困難となります。
(参考:『水深何cmまでドアは開くのか?』(JAFユーザーテスト) )
車内からガラスを叩き割って脱出できるよう、車内の手が届くところに脱出用ハンマーを備えておくことが大切です。
▷P50 ライフハンマープラス|防災用品セレクトカタログ vol.2
火災が発生した
最近のオフィスには火の気もなく、防炎製品が使われているため火災のリスクは低くなっていますが、転倒、落下物により電子機器やモバイルバッテリーが破損するなどで火災が発生する可能性があります。
大災害時には消防車がすぐ来ない可能性もあるため、可能な範囲での初期消火活動や避難誘導にあたることが考えられます。その際に煙を吸わないよう防煙・防毒マスクが活躍します。
※防煙・防毒マスクはあくまでも初期消火および避難用です。
▷防毒・防煙マスク スモークブロック(マウス&ノーズ) | レスキューナウ防災備蓄品オンラインショップ
▷防毒・防煙マスク スモークブロック(フルフェイス) | レスキューナウ防災備蓄品オンラインショップ
また、社内の消火設備(消火器、消火栓、排煙口、防火扉、スプリンクラー等)が使えるように防災訓練で練習しておくことも推奨します。
負傷者がいるが救急車がなかなか来ない
災害時は救急車がなかなか来られない場合があります。さらに、病院搬送後も重傷者の対応が優先されるため、なかなか手当を受けられない可能性もあります。
軽度の負傷は自身や周囲の人々で手当てできるよう、救急セットを備えておきましょう。市販の救急箱は基本的にどのオフィスでも備えられていると思います。
ぜひ中身の期限や数量をチェックしましょう。特に感染防止用の使い捨て手袋や、止血用のガーゼ等はドラッグストアや百円ショップ等でも購入できるので、追加するとより安心です。
▷P30 救急用品の<選び方のポイント>とオススメ救急用品2選|防災用品セレクトカタログ vol.2
▽救急用品についての解説はこちら
また、帰宅困難時において社内宿泊時の衛生を保つため、ウェットティッシュや除菌剤等も日常使いしながらローリングストックしておくと、常に一定の品質を保ちつつ備蓄ができます。
▷P32 長期保存可能なウェットティッシュ等の衛生用品|防災用品セレクトカタログ vol.2
レスキューナウの公式オンラインショップではこれらの商品を簡単にご注文いただけます。豊富な導入実績のある専門スタッフが厳選した商品を扱っておりますので、何を選んだらいいか分からないという担当者の方も安心してご利用ください。
まとめ
見落としがちな、食料・水以外に絶対備えるべき防災備蓄品(工具編) についておさらいです。
- 約70%の企業が食料・水・トイレ・毛布以外の防災備蓄品も備えている
- 安全に避難・救助、社内待機するためには工具類や救急用品の防災備蓄品も必要
- シーンに応じて、バール、ハンマー、ヘルメット、救急セット等を備えると良い
- レスキューナウのオンラインショップでこれらの防災備蓄品を簡単に注文できる
ご紹介した防災備蓄品についてのご質問、ご相談は下記お問い合わせフォームにて承っています。自社に不足している防災備蓄品は何かなど、ぜひお気軽にご相談ください。