気象警報の種類や発表について
こんにちは。レスキューナウです。
各地で梅雨入りや梅雨明けのニュースが流れ、先日も九州や関東でも大雨警報が発表されました。
今後夏から秋にかけて、大雨や台風等で気象警報を目にする機会もさらに増えてくるかと思います。
今回はその気象警報について、どういった種類があるのか? 発表された場合はどういった対処が必要なのか? を解説していきます。
この記事の目次[非表示]
気象警報とは
『気象警報』とは、雨や風などの気象現象に伴って重大な災害が発生するおそれがある時、気象庁や各気象台が事前に警戒を呼びかけるために発表する情報です。気象庁では「大雨・洪水・大雪・暴風・暴風雪・波浪・高潮」の7種類の警報を発表しています。発表対象は市区町村単位が原則で、発表単位の数は1800近くに上ります。
警報の種類 |
発表の基準など |
大雨警報は、大雨による重大な土砂災害や浸水害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。特に警戒すべき事項を標題に明示して「大雨警報(土砂災害)」、「大雨警報(浸水害)」又は「大雨警報(土砂災害、浸水害)」のように発表します。雨が止んでも重大な土砂災害等のおそれが残っている場合には発表を継続します。 |
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洪水警報 |
洪水警報は、河川の上流域での大雨や融雪によって下流で生じる増水や氾濫により重大な洪水災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。対象となる重大な洪水災害として、河川の増水・氾濫及び堤防の損傷・決壊、並びにこれらによる重大な浸水害があげられます。 |
大雪警報 |
大雪警報は、降雪や積雪による住家等の被害や交通障害など、大雪により重大な災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。 |
暴風警報 |
暴風警報は、暴風により重大な災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。 |
暴風雪警報 |
暴風雪警報は、雪を伴う暴風により重大な災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。暴風による重大な災害のおそれに加え、暴風で雪が舞って視界が遮られることによる重大な災害のおそれについても警戒を呼びかけます。ただし「大雪+暴風」の意味ではなく、大雪により重大な災害が発生するおそれがあると予想したときには大雪警報を発表します。 |
波浪警報 |
波浪警報は、高波による遭難や沿岸施設の被害など、重大な災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。 |
高潮警報 |
高潮警報は、台風や低気圧等による異常な潮位上昇により重大な災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。 |
気象警報が発表されるタイミング
気象警報は、対象区域の雨量指数や風速、降雪の深さなどの気象要素が、あらかじめ決められた警報を発表するための基準値に達すると予想された場合に発表されます。基準値は市区町村ごとに異なり、過去の災害を幅広く調査した上で設定されています。
気象庁は、気象警報が防災機関や住民に伝わり、安全確保の行動がとられるまでにかかる時間を考慮して、「災害に結びつくような警報級の現象」の発生の場合、約3~6時間前に気象警報を発表します。また、「短い時間に降る強い雨に伴う大雨・洪水警報」については約2~3時間前に発表しています。
そのほかにも、一般的に人が寝静まる夜間や早朝に警報の発表の可能性がある場合、前日の夕方に前倒しで注意報を発表し、その中で、例えば「明け方までに警報に切り替える可能性があります」というように、警報を発表する可能性がある時間帯を表記しています。
防災気象警報の種類 |
発表タイミング |
災害に結びつくような
警報級の現象
|
約3~6時間前 |
短い時間に降る強い雨に伴う大雨・洪水警報 |
約2~3時間前 |
人が寝静まる夜間や早朝に警報の発表の可能性がある場合 |
前日の夕方に前倒しで注意報を発表し、その中で、例えば「明け方までに警報に切り替える可能性があります」のように、警報を発表する可能性がある時間帯を表記 |
気象警報と気象情報の違い
『気象情報』は、警報や注意報と一体のものとして発表され、現象の経過や予想、防災上注意すべき点などを解説する重要な情報です。主に、警報や注意報に先駆けて、注意喚起を行います。また、実際に大雨や暴風が吹いている状況や今後の見通しを解説するなど、警報や注意報を補足する役割もあります。
例えば、1日~3日先に全国的に大雨や暴風による災害が予想される場合、「全般気象情報」を発表して注意を促します。その他にも、全国を11に分けた地方予報区を対象にした「地方気象情報」や、都道府県を対象にした「府県気象情報」があります。
気象情報は災害が発生する可能性のある日から先行して発表されるため、気象警報に比べると前もって災害に対する備えをする時間的な余裕があると言えます。ただ、気象警報は重大な災害が発生する危険が『今』迫っていることを知らせる情報で、発表される地域もきめ細かいため、緊急性という意味では、気象警報が主役で、気象情報が脇役といった位置づけになるでしょうか。
気象警報と防災気象情報の違い
『防災気象情報』は、主に気象災害から身を守るための情報です。気象警報は時間の経過とともに段階的に発表される様々な防災気象情報のうちの一つで、防災気象情報には他にも台風情報や記録的短時間大雨情報、土砂災害警戒情報、指定河川洪水予報などが含まれます。
防災気象情報は、それぞれの情報ごとに取り扱う気象要素の体系が異なり、情報の種類も多く、スケールの幅が広いことが特徴です。その中でも、大きく「網羅的に解説する情報」と「極端な現象を速報的に伝える情報」の2つに分けることができます。台風情報や気象情報は「1日~数日程度前から注意喚起の意味合いで発表される情報」で、前者に該当します。一方、気象警報・注意報や記録的短時間大雨情報、土砂災害警戒情報、竜巻注意情報は「重大な災害や危機が『今』まさにそこまで迫っている状況で発表される情報」で、後者にあたります。
防災気象情報 |
網羅的に解説する情報
(1日~数日程度前から注意喚起の意味合いで発表される情報)
|
(重大な災害や危機が『今』まさにそこまで迫っている状況で発表される情報) |
台風情報 |
気象警報・注意報 |
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気象情報 |
記録的短時間大雨情報 |
|
土砂災害警戒情報 |
||
竜巻注意情報 |
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指定河川洪水予報 |
台風情報や気象情報の場合であれば事前にテレビなどで知り、そこからテレワーク推奨の周知をするなどの対応ができますが、気象警報・注意報や土砂災害警戒情報などの場合は「今迫っていること」のため、業務時間中にテレビやネットニュースなどが流れていないと支社が巻き込まれていてもすぐには覚知できない可能性があります。また、各自治体から発表される気象警報は、市区町村単位でフォーマットや基準が異なり、ぱっと見で関係ある地域なのかがわからなかったり、この基準はどのくらいの規模なのか?というのが分かりづらかったり、新しく警報が発表されたのか? 継続して警報が発表されているのか?が分かりづらかったりということがあります。
レスキューナウでは、全国各地の自治体から出される気象警報などの他、停電や通信障害情報、工場操業関連情報などを危機管理情報センター(RIC)で一括収集し、フォーマットを統一した上で配信する2つのサービスをご提供しています。
業務効率化のため社内システムに取り込む、社内や公共交通機関でのサイネージなどで使用するといった形で情報のみを使いたい場合は、コンテンツシェアサービスがおすすめです。
支社や取引先など、本社と離れた関連する地域の情報だけ知りたい場合はレスキューWeb、地図上でより可視化したい場合はレスキューWeb MAPをおすすめします。
気象警報と警戒レベル相当の違い
警戒レベルは、いざという時に自分の命を守る行動をとるための指標で、自治体(市町村)が発令する避難情報などを指します。災害発生の危険度や、とるべき避難の行動を住民が瞬時に判断できるように考えられています。警戒レベル1では、まだ災害への心構えをする段階ですが、警戒レベルで最高の5になると、命を守るため『直ちに』身の安全を確保する行動が必要になります。
『警戒レベル相当』は、主に気象庁などが発表する防災気象情報を指します。気象警報・注意報などの防災気象情報を、警戒レベルで用いられている5段階のレベルに当てはめた場合、どのレベルに「相当」するかを表しています。例えば、気象警報(大雨・洪水警報)は警戒レベル相当では真ん中の3で、警戒レベルの高齢者等避難と同じになります。
「高潮・大雨・洪水」警報は、気象警報では横並びですが、警戒レベル相当にあてはめると、「大雨・洪水」警報は警戒レベル相当で3なのに対し、「高潮」警報はワンランク上の4に該当するという違いがあります。
警戒
レベル
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取るべき行動 |
危険度分布 |
気象庁等の情報 |
5 |
命の危険
直ちに安全確保
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災害切迫 |
大雨特別警報
氾濫発生情報 高潮氾濫発生情報 |
4 |
危険な場所から
全員避難
|
危険 |
土砂災害警戒情報 |
3 |
危険な場所から
高齢者等は避難
|
警戒 |
大雨警報、洪水警報 |
2 |
注意 |
大雨注意報、洪水注意報 |
|
1 |
早期注意情報 |
6月18日(火)16:00、「防災気象情報に関する検討会」のとりまとめ資料が発表され、令和8年度出水期を目標に情報体系を運用していくとされました。情報と避難情報などの行動指針が結びつき、より分かりやすくなる見込みです。また新しい情報が公開されましたら、こちらは別途まとめたいと思います。
《参考:警戒レベル相当の「相当」ってなに?(レスキューナウブログ・2023年12月時点の情報解説)》
気象警報が発表されたらすべきこと
気象警報が発表された時点で、すでに危険が差し迫っている場合もあります。いざという時に、命を守る行動がとれるように準備し、早めの避難を心がけてください。テレビやラジオ、インターネットなどで積極的に情報を集め、自分の身に迫りくる危機を未然に回避しましょう。
また、総務・人事といった方々は、支社の状況もいち早く覚知し、従業員への早めの帰宅推奨連絡や避難連絡といった対応が必要となるかと思います。その対応を早くするための一助として、コンテンツシェアサービスやレスキューWebをご利用されてみてはいかがでしょうか。
他にも、気象庁は、大雨と洪水の警報を発表中、「キキクル」と呼ばれる土砂災害・浸水害・洪水の危険度を色別に表した情報を発表しています。それぞれの色が示す危険度は高い順に、黒色が「災害切迫」、紫色が「危険」、赤色が「警戒」、黄色が「注意」のエリアを示しており、危険度が高まっている場所を見た目で分かりやすく確認することができます。
弊社のレスキューWeb MAPでも、上記の配色ルールに対応して表示しています。
《レスキューWeb MAP上の配色イメージ》
キキクルの情報をもとに、自分が今置かれている状況を把握し、避難の判断に活かせるよう、日頃から気象情報や気象警報には気を配っていきましょう。
■参照URL
気象警報・注意報の種類〔気象庁〕https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/warning_kind.html
気象警報・注意報〔気象庁〕
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/warning.html
気象情報 (警報・注意報に先立つ注意喚起や警報・注意報の補足など) 〔気象庁〕
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/kishojoho.html
気象の監視・予測〔気象庁〕
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/hakusho/2015/01-1.html
警戒レベル・特別警報・警報とは〔日本気象協会〕
https://tenki.jp/bousai/knowledge/4f5b120.html