南海トラフ地震臨時情報が運用開始以来初めての発表。翌日 関東甲信でも震度5弱。企業がとるべき対応は?
こんにちは。レスキューナウです。
2024年8月8日(木)午後7時15分に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されました。
これは2019年5月31日に南海トラフ地震に関連する情報の運用が開始されて以来初めてのことであり、南海トラフ地震の想定震源域では、新たな大規模地震が発生する可能性が平常時と比べて相対的に高まっていると考えられています。
特定の期間中に⼤規模地震が必ず発⽣するというわけではありませんが、今後1~2週間程度は強い揺れやそれに伴う津波に注意しながら、政府や⾃治体などからの呼びかけに応じた対応が求められています。
(2024年8月9日追記▼)
8月8日に(木)九州を中心に大地震が発生した翌日8月9日(金)には、今度は関東甲信 で最大震度5弱の大きな地震が発生しました。
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南海トラフ地震臨時情報とは?
南海トラフ地震臨時情報とは、南海トラフ全域を対象に異常な現象が観測された場合や巨大地震の発生リスクが高まった際に気象庁から発表される情報です。
情報名の後に全4種のキーワードのいずれかを付記した形で発表されるもので、今回(2024年8月8日 )は「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」として発表されました。
南海トラフ地震臨時情報(調査中)
南海トラフ地震に関連する可能性のある異常な現象(※)が観測され、調査を開始した場合、または調査を継続している場合に発表される情報です。
現象の観測から5~30分後に発表され、その後「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」の臨時会合での調査結果を受けて、いずれかの該当キーワードを付記した情報が発表されます。
※監視領域内でのマグニチュード6.8以上の地震、 想定震源域内のプレート境界での通常と異なるゆっくりすべり等の南海トラフ地震との関連性の検討が必要と認められる変化
南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)
巨大地震が非常に高い確率で発生する可能性があると判断されたときに発表される情報であり、この情報が出た場合は、直ちに巨大地震が発生する可能性があるため、最大限の警戒が求められます。
具体的には想定震源域内のプレート境界において、モーメントマグニチュード(※)8.0以上の地震が発生したと評価された場合に「巨大地震警戒」のキーワードが付記されます。
※断層のずれの規模(ずれ動いた部分の面積×ずれた量×岩石の硬さ)をもとにして計算したマグニチュード。従来の地震波の最大振幅から求めるマグニチュードに比べて、巨大地震に対しても規模を正しく表せる特徴を持っている。
南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)
巨大地震が発生する可能性があると考えられるが、その確率が「警戒」の段階ほど高くない場合に発表される情報であり、この情報が出た場合でも注意を怠らず、地震に備えることが重要です。
具体的には監視領域内において、モーメントマグニチュード7.0以上の地震が発生したと評価した場合(巨大地震警戒に該当する場合は除く)、かつ想定震源域内のプレート境界面において、通常と異なるゆっくりすべりが発生したと評価した場合に「巨大地震注意」のキーワードが付記されます。
南海トラフ地震臨時情報(調査終了)
調査の結果、巨大地震のリスクが低下したと判断された場合に発表される情報ですが、引き続き日常的な防災対策は必要です。
具体的には、巨大地震警戒、巨大地震注意のいずれにも当てはまらない現象と評価した場合に「調査終了」のキーワードが付記されます。
南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)発表の翌日に関東甲信で震度5弱の地震
神奈川県で震度5弱の揺れを観測したのはおよそ3年ぶりです。
西日本で地震が発生した翌日起こったということで、発表の通り1週間は警戒が必要とみられます。
首都東京都内でも震度4を観測。お盆直前の金曜日の夜ということもあり、対応や情報収集は普段のように簡単にはいきませんが、企業にとって事業継続は不可欠ですので、社員の安否確認や拠点の被害状況の確認は必須でしょう。
企業における対応は?
南海トラフ沿いの大規模な地震と関連する可能性のある異常な現象が観測された場合、はじめに「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」が発表されます。
地震発生から最短2時間後に調査結果が発表され、付帯するキーワードに応じて政府や自治体から防災対応が呼びかけられるので、まずは状況に応じて避難などの防災対応を準備・開始し、その後発表される情報に常に注意を払いましょう。
ここでは政府や自治体から呼びかけられる防災対応以外に必要に応じて企業がとるべき4つの対応をご紹介します。
その他、企業に求められる防災対策については能登半島沖地震についてのブログでも詳しく解説していますので、そちらも併せてご覧ください。
BCP(事業継続計画)の準備と確認
南海トラフ地震臨時情報が発表されるということは、巨大地震の発生リスクが通常よりも高まっていることを意味します。
そのため、直ちに事業継続計画(BCP)を見直し、現状に即した内容かどうかを確認することが重要です。その際、必要な人員やリソース、代替手段の確保状況を再確認することで、計画が実行可能なものであるかを評価します。
また、従業員や関係者に対してBCP発動の準備を指示し、計画に基づいた行動ができるように整えておくことで、万が一の事態にも迅速な対応が可能になります。
従業員への事前通知と安全確保の準備
実際に大きな地震が発生する前に従業員に情報を共有し、災害対応と安全確保の準備を進めることで、緊急時の混乱を避けることが可能です。
特に、出勤時や在宅勤務時の安全確保についても事前に指示を出し、避難経路や避難場所、緊急の連絡先や方法について再確認してもらいます。
また、今回は平日でしたが、災害発生のタイミングによっては通常業務はもちろん、イレギュラー対応も思うようにいかないケースが多くあります。
事前に従業員が適切な行動を取れるよう準備・指示しておくことで、事業継続のための土台を固めておきましょう。
サプライチェーンへの早期対応
巨大地震が発生した場合、サプライチェーンが途絶する可能性があるため、早期に関係先と連携して、リスク分散等の地震の影響を考慮した対応を進めることが大切です。
具体的には、必要な資材や商品の在庫状況を確認し、事前に補充や代替の供給ルートを検討します。
また、物流や生産へのリスクを評価して対策案を協議することで、サプライチェーンが途絶した場合の影響を最小限に抑え、生産や供給の安定性を保つことができます。
緊急連絡体制の確認
地震が発生した際に緊急連絡体制が整っていないと、情報伝達が困難になり、迅速な事業の復旧・継続に影響を及ぼします。
そのため、事前に緊急時の連絡手段が整っていることを確認し、利用中の安否確認システムや拠点確認システム等に従業員の最新の連絡先が登録されていることを確認します。
また、必要に応じて緊急時の情報伝達が確実に行えるようにテストを実施しておくことで、利用機会の少ないサービスでもスムーズに活用できる準備をしておきましょう。
参考:内閣府「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応」
内閣府による「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応」 動画の紹介をさせていただきます。
まとめ
南海トラフ全域を対象に異常な現象が観測された場合や巨大地震の発生リスクが高まった際に気象庁から発表される非常に重要な情報です。
企業にとって、この情報を受けた際の適切な対応が災害によるリスクを最小限に抑え、事業を早期に復旧・継続するためのカギとなります。
不測の事態に強い体制づくりのため、今のうちに準備を整え、万が一の事態に備えておきましょう。
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