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御嶽山噴火から10年 ~活火山との付き合い方~

こんにちは。レスキューナウです。


まだまだ台風や突然の雹など天候が不安定ですが、朝夕の気温は少しずつ下がり、秋っぽさを感じますね。

秋といえばレジャー、スポーツ、食、読書、音楽……と活動が増える時期で、登山やキャンプを楽しみたい方も多いかと思いますが、行先が安全かどうかの確認、また備えはできていますか?

戦後最悪の火山災害と言われている「御嶽山噴火」から10年の今、改めて被害や当時の状況なども振り返りながら備えを考えていきましょう。


この記事の目次[非表示]

  1. 1.戦後最悪の火山災害から10年
  2. 2.御嶽山噴火に前兆現象はあったのか
  3. 3.レスキューナウ危機管理情報センター(RIC)はどう対応したのか
  4. 4.御嶽山噴火後の気象庁の対応で設けられた「噴火速報」
  5. 5.噴火速報以外にもある火山に関する情報
  6. 6.【企業の担当の方向け】噴火への対応を迅速にする方法
  7. 7.活火山への登山者や活火山周辺に住む住民が留意すべきこと


戦後最悪の火山災害から10年


今からちょうど10年前の2014年9月27日11:52頃、長野県と岐阜県にまたがる御嶽山で噴火が発生しました。

この時期、平野部ではまだ残暑が厳しいですが、標高3067mと火山としては富士山に次いで標高の高い御嶽山の山頂付近では紅葉が見頃で、好天に恵まれたこの日も紅葉を楽しみながら昼食をとろうと多くの登山客が山頂を目指していました。噴火はそんな時に起きました。

この噴火で、御嶽山の山頂の南西側の火口から噴石が1kmの範囲に飛散し、山頂付近にいた多くの登山者が噴石に巻き込まれました。この噴火による死者は58人、行方不明は5人、負傷者は69人にのぼり、死者・行方不明者あわせて63人は戦後最悪の火山災害となりました。


御嶽山噴火に前兆現象はあったのか


登山客が多くいたことで大きな被害がでた御嶽山噴火。前兆現象など予兆を示すものは見られていたのでしょうか。2015年3月に気象庁の火山噴火予知連絡会がまとめた報告には、前兆現象と気象庁の判断について記述されています。

前兆となる現象は2014年8月下旬からみられていました。当初は火山性地震が1日数回発生していたくらいだったようですが、9月10日以降に1日50回を超えました。ただ、過去のデータからは噴火発生の可能性を判断するまでは至るレベルではなく、気象庁からは今後の推移に警戒するように「火山の状況に関する解説情報」を計3回発表し、後述する「噴火警報」の発表や「噴火警戒レベル」の変更はありませんでした。その後、噴火当日の9月27日も、11:52頃の噴火の直前である11:41頃から火山性微動を、11:45頃から傾斜計の変化が観測され始めており、この時点で直ちに情報を発表することは難しかったと考えられます。

このように、前兆現象としては噴火の前月からあったものの、強い前兆現象は噴火直前に発生しており、いかに活火山の噴火リスクを見積もるのか難しいかがわかります。

↑「噴火警戒レベル」が運用されている火山一覧(気象庁ホームページより)
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kazan/level_toha/level_toha.htm



レスキューナウ危機管理情報センター(RIC)はどう対応したのか



10年前のこの日、危機管理情報センターに勤務していた筆者は、午後からの勤務でした。

昼過ぎのニュースで御嶽山が噴火し、噴火警戒レベルが1(当時は「平常」、現在は「活火山であることに留意」)から3(入山規制)に引き上げられたこと、さらに山頂付近で数人が噴石に巻き込まれた模様、というところまでは把握して出勤しました。しかし、この時点では100人を超えるほどの多くの人が山頂付近にいたことまでは想像できていませんでした。

そこで出勤後、まずは「緊急情報」として速報ベースで御嶽山が噴火し、山頂で噴石に巻き込まれた登山者がいる模様、までを配信しました。

その後、多くの登山客が山頂付近に取り残され安否不明者が多数いることが分かり、報道機関の中継映像でも依然として噴煙が激しく上がっている様子が見えたことから、重大な災害が発生していることが見込まれるとして、当日の夕方にはwebベースで被害状況のまとめを配信しました。さらに、週明けにはレポートの形式で画像や図表などを交えて顧客向けに被害状況のまとめを送付する、という流れで進めていきました。

筆者はかつて旅行中に、鹿児島市中心部で桜島の噴火に偶然遭遇したことがありました。昼間でも薄暗くなるほどの降灰に見舞われ、硫黄化合物のにおいが市街地に漂うなど恐怖感を感じるほどでした。その後にこの御嶽山の噴火の対応に当たったため、火山灰よりもさらに大きな噴石が降り注ぐ中での避難がいかに難しかっただろうかと思いを巡らせていました。


御嶽山噴火後の気象庁の対応で設けられた「噴火速報」


御嶽山での火山災害を受け、火山噴火予知連絡会では課題を検証し、情報伝達の面においては「わかりやすい情報提供」、「情報伝達手段の強化」、「気象庁と関係機関の連携強化」の3点を柱とした提言が行われました。

この提言を受け、気象庁は観測が必要な火山の見直しを行うと共に、2015年8月4日から「噴火速報」を開始しました。

噴火速報は、その名の通り、噴火の発生を知らせる情報で、身を守る行動をとってもらうことを主目的としています。情報の特性上、速報性を重視するため、火山名と噴火した時間のみに情報を絞って発表されます。最初に発表されたのは2015年9月14日の阿蘇山噴火で、これまでに16回発表されています。


噴火速報以外にもある火山に関する情報


噴火速報は、噴火が起きた際に発表される情報ですが、噴火のリスクを知らせる情報として「噴火警報」や「噴火予報」があります。このうち「噴火警報」は生命に危険を及ぼすような火山現象(噴火・火砕流など)の発生や、拡大が予想される場合に警戒範囲を示して発表される極めて重要な情報です。

また、指定された火山(49火山)については、火山周辺に住む住民の行動の目安を示すために「噴火警戒レベル」が設定されています。レベルは「レベル1(活火山であることに留意)」から「レベル5(避難)」の5段階に分けられ、対象の活火山ごとに周辺の市町村や地元気象台、研究機関などで組織される「火山防災協議会」が検討・作成した避難計画に基づいて運用しています。そのため、対象火山によってレベルの運用については基準が異なります。

ちなみに、「レベル1」は御嶽山の噴火前までは「レベル1(平常)」という文言でしたが、御嶽山噴火後は「レベル1(活火山であることに留意)」という文言に変更されました。

↑噴火警戒レベルについて(気象庁ホームページより引用
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kazan/level_toha/level_toha.htm


【企業の担当の方向け】噴火への対応を迅速にする方法


先ほどご紹介したレスキューナウ危機管理センター(RIC)で集めた情報は、「コンテンツシェアサービス」で配信しています。様々な機関から発表される災害・気象警報・ライフライン情報などが一定の形に成形したテキストデータ化されており、お客様のシステムやデジタルサイネージなどにご活用いただけます。

  コンテンツシェアサービス | 株式会社レスキューナウ レスキューナウが提供するコンテンツシェアサービスは、人々の生活や移動、企業や自治体の活動に様々な形で影響をおよぼす「リアルタイムコンテンツ」をXMLデータで提供します。 株式会社レスキューナウ


レスキューナウが提供するリスク情報地図サービス「レスキューWeb MAP」は、以下の流れでお客様が実施する噴火への対応をサポートします!


①噴火速報をアラートメールでお届け
②火山から一定の距離にある拠点を自動で抽出(抽出したリストはエクセル出力可能)
③風向き・風の強さを地図上に表示(地図上に表示されているオレンジ色の線)
停電、断水、交通網の麻痺などの2次被害に関する情報もカバー

  レスキューWeb MAP | 株式会社レスキューナウ レスキューWeb MAPは、災害時における「災害・危機情報」を集約・見える化するサービスです。発生した災害や危機が自社に影響するのか、一目で分かります。ごく僅かな時間で、発生エリアと自社関係先を突き合わせ、対象の抽出が可能です。 株式会社レスキューナウ


レスキューWeb MAPで災害情報の確認をした後は、「ステータスChecker」で近隣事務所の建物・設備の被害がないか確認できます。

①被害状況の報告指示を自動・手動で送信
被害状況を自動集計、深刻度で色分け表示
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活火山への登山者や活火山周辺に住む住民が留意すべきこと


噴火警戒レベルのレベル1に「活火山であることに留意」とありますが、まずは自分が登ろうとしている山あるいは、居住地の近くにある山が活火山か否かを調べることが大切です。その上で、活火山であることがわかった場合は、登山者は登山の計画時に、周辺住民は日常的に気象庁ホームページなどで「噴火警戒レベル」、「噴火予報」、「火山の状況に関する解説情報」などで現在の火山活動についての情報を収集します。この時点で火山活動の活発化がみられる場合、登山者は登山の中止も検討してください。また、住民の方は日頃から避難計画の確認や避難経路や避難場所の確認などを行い、突然起きる噴火に備えることも大切になります。

情報収集の結果、低リスクと判断して火山に近づく場合も、装備なしで向かうのは大変危険です。突然の噴火でも落ち着いて行動できるよう、シェルターや避難小屋などの確認、噴石や火山灰、火山ガスに備えるヘルメットやゴーグル、マスクといった装備も重要となります。これは周辺住民でも同じです。

そして、登山の際は必ず入山前に登山届を提出しましょう。提出をすることで火山噴火時だけではなく、急な事故や遭難の際に早めに救助される可能性が高くなります。最近はオンライン上で提出することができるようになっています。

最初に書いたとおり、御嶽山のように火山は常に事前に明確な前兆現象があった上で噴火するとは限りません。その一方で、登山や観光、さらには居住などで火山の近くに行くことも考えられます。一見すると穏やかな趣をもった火山にも常にリスクがあるという意識を持ちながら、山を楽しむという意識が重要となります。


<参考資料>

2014年(平成26年)御嶽山噴火による災害(災害対応資料集)〔内閣府〕https://www.bousai.go.jp/kaigirep/houkokusho/hukkousesaku/saigaitaiou/saigai_gaiyo.html
https://www.bousai.go.jp/kaigirep/houkokusho/hukkousesaku/saigaitaiou/pdf/saigai_gaiyo/H26_mitake.pdf
御嶽山 有史以降の火山活動〔気象庁〕https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/312_Ontakesan/312_history.html
御嶽山 噴火の証言〔NHK〕
https://www.nhk.or.jp/d-navi/link/ontake2014/
火山に関する防災情報についての用語〔気象庁〕https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kazan/kazanyougo/joho.html
火山情報の提供に関する報告〔気象庁火山噴火予知連絡会〕
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/shingikai/ccpve/kentokai/yochiren_joho_houkoku150326.pdf
火山に関する情報の発表状況〔気象庁〕
https://www.data.jma.go.jp/vois/data/tokyo/STOCK/volinfo/volinfo.php?info=VS&id=ALL
噴火速報の説明〔気象庁〕
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kazan/funkasokuho/funkasokuho_toha.html
噴火警戒レベルの説明〔気象庁〕
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kazan/level_toha/level_toha.htm

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