防災備蓄品の保管場所ベストプラクティス
こんにちは。レスキューナウブログ担当です。
防災備蓄品の納品が多い年度末。とりあえず備蓄倉庫に入れておいて、いざ必要になった時や入替の時に取り出しにくい、管理ができていない…なんてことはありませんか?
今日は使用時や入れ替え時を見据えた防災備蓄品の上手な保管方法をご紹介します。
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納品手配前に搬入条件をチェック
納品に際し、搬入条件をチェックしておきましょう。
- 各拠点へ分割納品してもらうか、自分達で仕分けて発送するか
- 入れ替えの場合は、既存備蓄品を処分しスペースを空けたか
- 処分する既存備蓄品は社内で配布するか、寄贈するか、廃棄するか(使ってみるのがおすすめ)
- 納品物は搬入場所の床の重量制限内であるか
- 搬入業者のトラックに対応できるか(車両サイズは荷捌き場の制限内か、受入れ可能な台数か)
- 荷捌き場は利用できるか、または付近に安全に荷下ろしと荷捌きできる場所があるか
- ビル管理会社への申請は必要か(フォーマットや提出期日も早めに確認)
- 業務用エレベーターは使えるか、当日に点検・停止予定はないか
- 搬入路の養生、通路の幅、段差に対し、納品物や台車はスムーズに搬入できるか
- 搬入要員と台車(複数台)の確保と役割分担
- 作業手順の準備と周知
- 作業にあたっての危険予知と安全確保(必要に応じて手袋や安全靴の着用等)
- 搬入場所・動線付近で勤務している人への事前告知(状況に応じて移動のお願いや騒音発生の可能性等)
- 作業で発生した段ボール等のごみ処理方法
…etc.
商品後も、納品までの間にも準備しておくことが意外とあります。新規導入や入れ替え計画についてはこちらのサイクルもぜひご参考ください。
どのくらいのスペースが必要なんだ?
必要な品目・数は算出できた。手配も完了した。あとは納品だけ。さて、どう格納しようか?
まずは各商品の発注数、商品サイズ、カートンサイズ、カートン入数、カートン数などから必要な広さを算出してみてください。
例えば、食料・水・トイレ・毛布を100名3日分備蓄するとします。一般的な入数、カートンサイズで、積み上げが容易にできる程度の高さまでで床置きすると、面積は食料5.4㎡、水21.3㎡、トイレ1.4㎡、毛布2.9㎡、合わせて31㎡となります。人が通れるスペースも加味すると、少なくとも35㎡、20畳程度は必要になりそうです。
(レスキューナウ防災用品カタログvol.1 P4より引用)
こちらは初めに備蓄することが多い食料・水・トイレ・毛布について仮算出したものです。商品・カートンの大きさ、種類、数によって変動しますので、実際の納品予定の商品仕様でシミュレーションしてみてください。
保管場所を分散させよう
「そんな広いスペースないです」とご相談いただくことも。では、質問です。そもそも、1箇所にまとめて保管しなければいけないのでしょうか?
レスキューナウとしての答えは「No」です。
理由はふたつ、リスクの分散と負荷の軽減です。1箇所にまとめて保管できることは平時の管理がしやすい反面、
・普段使わない倉庫で担当者以外は保管場所が分からない
・被災して扉が開かなくなり、執務室外の備蓄品を取りに行けない
などの事態が発生した場合に、全ての備蓄品が使えなくなってしまう可能性があります。まとまったスペースの確保が可能でも難しい場合でも、複数エリアへ分けて保管することでリスク分散できます。1人分を各従業員に予め配布して省スペース化してもいいでしょう。
また、複数フロアにオフィスがある場合では、大量の備蓄品を各フロアへ運べるでしょうか?実際の非常時にはエレベーターが使えない可能性が高いです。持ち運びや配布の負荷が軽減されますので、各階に分散させた備蓄をオススメします。
その際、台車が通れないような段差が無いか、通路幅は十分かなど、備蓄品の搬入・入れ替え・使用時の搬出に備え、保管場所からオフィスへの動線を事前に確認しておきましょう。
事前に配布してしまうのも手
1人用セット商品やヘルメットがある場合は、予め各自に配布しておくこともオススメしています。1人分のセット商品を各デスクの引き出しや足元へ格納し、2~3日目分はケース単位で倉庫へ備蓄するといった保管場所を分ける方法を、レスキューナウでは「ハイブリッド備蓄」と呼んでいます。
ハイブリット備蓄にすることで省スペース化だけでなく、慌ただしい発災初日は各自のデスクにあるセット商品を使え、状況が落ち着いたら、備蓄品配布担当者が倉庫から必要分の備蓄品を配布するなど、スムーズな対応ができます。
予め配布しておく際には、業務の邪魔にならず且つすぐ手に取れる場所に置いてもらうよう注意を促してください。例えばデスク上の端や足元に置いたり、フックでぶら下げたり、車座席の下に入れたりするといいのではないでしょうか。
とくにヘルメットのように安全確保が目的の備蓄品は、すぐに手に取れる場所での保管や事前配布を推奨します。発災直後、倉庫へ取りに行く途中で落下物でけがをしてしまっては本末転倒です。
デスク周り、各部屋、廊下など広く設置し、躊躇いなく即座に使えるとよいでしょう。
床に積み上げるか、棚にしまうか
保管の仕方は大きく2つ、「棚入れ」と「床置き」があります。棚入れはキャビネットなどに1点ずつ収納する保管、床置きは倉庫などにカートンを積み上げていく保管の仕方です。それぞれ利点がありますので、個数やスペースによって適したほうを検討してください。
棚に保管する場合
- 利点:出し入れや移動が容易で整理しやすく、利便性が良い
- コツ:重いものは下段に入れましょう。そうすると棚自体に安定感が出て転倒防止対策になります。棚の転倒防止に加えて備蓄品の飛び出し・落下防止対策もしましょう。棚にロープや網を掛ける、棚板に滑り止めを敷くなどの対策がオススメです。
床に積む場合
- 利点:多くの物量を保管でき収納性が良く、安定感がある
- コツ:回し積みなどの方法で崩れにくくしましょう。つい隙間なく積みたくなりますが、揃え過ぎた積み方はかえって転倒リスクが高まります。物流に関わる方にとっては当たり前かもしれませんが、ブロック塀のように交互に積み上げたり、方向を変えながら積み上げることで安定しやすくなります。
(レスキューナウ防災用品カタログvol.1 P4より引用。わざと隙間をあけた図になっています。)
また、積む高さはなるべく低く抑えましょう。小柄な方の胸元を超えない高さまでを目安としてください(120㎝前後)。この場合も、ロープや網で包むと荷崩れや転倒防止の効果が高まります。
棒積み(交互にずらしたりしない積み上げ方)は重さが分散されず、下段の箱が潰れ商品の破損、劣化、荷崩れを招きます。過剰な積み上げも同様に荷崩れを招き、落下して破損したことにより長期保存ができなくなったり、周囲にいた人や取りに来た人が怪我をしたりする恐れがあります。
備蓄品の箱は、長期保管することをふまえ丈夫な段ボールが使われていることが多いですが、安全かつ有効に使用するためにも、積み上げる際は重いものを下に、交互にずらして、ほどほどの高さに留めることを意識してください。
向きは管理者・利用者の気持ちになって
また、収納、積み上げの際は期限が見える方向に箱を向けると、入れ替えや点検がしやすいです。ユニット1Dayレスキューのように品名・種類・期限が1面に記載されているものは、その面が見えるようにするとよいでしょう。そうでない場合でも、品名や期限を書いた紙を貼るのも良い方法です。
また、同じ商品を追加した場合には、古いものから使用できるように配置することも検討してください。
キャビネットに保管されたユニット1Dayレスキュー。開けなくてもタイプ・期限が分かるようになっています。
劣化、カビ、浸水…適切に管理できる場所は?
広さだけでなく、保管場所の環境が品質に影響しないかも注意しましょう。例えば、
・地下倉庫に大量備蓄していたがカビが生えてしまった
・直射日光(紫外線)に当たりすぎて劣化してしまった
など、環境が悪くせっかく備蓄した商品が使えなくなってしまうことがあります。商品の注意事項を必ず確認し、適切な環境で保管しましょう。定期的な点検も忘れずに。
他にも、保管場所は浸水リスクがないか、総重量は床の耐荷重内に収まっているかなども注意してください。
レスキューナウがある品川区の浸水ハザードマップ(品川区HPより引用)。他にも洪水、高潮浸水のハザードマップや予想区域図、過去の浸水実績一覧なども公開されています。国土交通省のハザードマップポータルサイトから全国のハザードマップを簡単に調べられます。
社内防災マップで誰でも場所が分かり使えるように
いざという時、担当者不在でも備蓄品が使用できるよう
・保管場所、数量
・使用、配布ルール
・使用後の申告方法、片付け方
などを誰でも理解できる場所・方法・内容で共有しておきましょう。特に保管場所は、社内MAPや従業員へのポケットマニュアル等を作成しておくと分かりやすいです。
最後に
ここまで読んでくださった方へ、最後に一つだけ気をつけてほしいことがあります。持ち運び方です。重いカートンで誤った運び方をすると腰を痛めかねません。くれぐれも腰に気をつけ、上手な防災備蓄品管理をしてくださいね。
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