避難情報発令!その時とるべき避難行動とは?
こんにちは。レスキューナウです。
水害や土砂災害等の危機が迫る際に発令される「避難情報」。
防災無線やニュースでは「避難指示」、「高齢者等避難」という言葉を使って呼びかけが行われますが、それぞれの言葉の意味や違いは何でしょうか。
今回は避難情報と、避難情報が発令された時にとるべき避難行動について詳しく解説します。
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そもそも「避難する」とはどんな行動?
避難とは、数分〜数時間後に起こる可能性のある自然災害等のリスクから生命や身を守るための行動を指しますが、具体的にはどのような行動をとればよいのでしょうか。
ここでは3つの避難行動をご紹介します。
立退き避難
まず、基本的なものとして「立退き避難」があります。
立退き避難とは、その場を離れて対象とする災害から安全な場所に移動することです。
自宅から避難場所や友人・知人宅に移動するケースをイメージしてもらうとわかりやすいでしょう。
屋内安全確保
屋内安全確保とは、主に安全な上の階への移動(垂直避難)や安全な上層階にとどまることです。
この屋内安全確保を行なうには、平時にあらかじめハザードマップ等を確認し、安全が確保できると自らが判断したときに認められるという条件があります。
緊急安全確保
緊急安全確保とは、既に災害が発生あるいは切迫している状況において、家の1階から2階あるいは屋上等、少しでも安全な場所へ移動することです。
しかし、これは避難し遅れた居住者等がとる次善の行動であるため、身の安全が確保できるとは限りません。
災害対策基本法と避難情報の歴史
避難行動を行う時の目安となる「避難情報」は、1961年に制定された災害対策基本法(以下「災対法」という)に基づいて発令されます。
この災対法の制定は、第二次世界大戦後の日本で大型台風や大きな地震(※)が相次いだことで、災害対策の総合化と計画化、災害対応体制の確立が要請されたことがきっかけとなりました。
※ カスリーン台風、伊勢湾台風、昭和南海地震、福井地震 等
現在レスキューナウが配信している4つの避難情報(※2)も災対法に基づいて市町村長が発令するもので、災害情報共有システム(Lアラート)や市町村発表の情報に基づいて配信を行っています。
※2 緊急安全確保・避難指示・高齢者等避難・警戒区域
避難情報の発令については、災対法の第六十条と第六十三条で定められています。
第六十条では「市町村長は、必要と認める地域の居住者等に対し、避難のための立退きを勧告し、及び急を要すると認めるときは、これらの者に対し、避難のための立退きを指示することができる」と定められ、「避難勧告」と「避難指示」が発令されるようになりました。
第六十三条では「市町村長は、警戒区域を設定し、災害応急対策に従事する者以外の者に対して当該区域への立入りを制限し、若しくは禁止し、又は当該区域からの退去を命ずることができる」と定められました。
ちなみに、長野県御嶽山の山頂周辺や鹿児島県桜島周辺等では現在も「警戒区域」に基づいた立入り制限が行われています。
その後、災対法における避難情報はそれぞれ阪神淡路大震災、東日本大震災、令和元年台風第19号(東日本台風)の被害を受けて見直しが検討されます。
そして2021年(令和3年)5月の改正で、「避難勧告」と「避難指示(緊急)」は「避難指示」に一本化されました。
ですので、現在「避難勧告」という避難情報が発令されることはありません。
一方で、新たに「緊急に安全を確保するための措置を指示することができる」、「要配慮者に対して、その円滑かつ迅速な避難の確保が図られるよう必要な情報の提供その他の必要な配慮をするものとする」という条文が追加され、「緊急安全確保」と「高齢者等避難」という2つの情報が追加されました。
こうして、現在では「緊急安全確保」「避難指示」「高齢者等避難」「警戒区域」の4つの情報が出るようになりました。
避難情報発令のタイミングとその時にとるべき行動とは?
では、実際に避難情報が発令されたときはどのような行動をとれば良いでしょうか。
ここからは、「避難情報に関するガイドライン」をもとに「緊急安全確保」「避難指示」「高齢者等避難」について、それぞれの情報が示す状況や避難行動を整理していきます。
改めて3つの情報を緊急性が高い順に上から並べると、以下のようになります。
出典:新たな避難情報に関するポスター・チラシ | 内閣府・消防庁
一般的な災害は段々と災害の切迫性が上昇するというタイムラインですので、今回は高齢者等避難から順に緊急性を上げながら説明していきます。
高齢者等避難
高齢者等避難の情報は、ガイドラインによると以下のように説明されています。
災害が発生するおそれがある状況、即ち災害リスクのある区域等の高齢者等が危険な場所から避難するべき状況において、市町村長から必要な地域の居住者等に対し発令される情報である。避難に時間を要する高齢者等はこの時点で避難することにより、災害が発生する前までに指定緊急避難場所等への立退き避難を完了することが期待できる。
情報に対して要請される行動は以下の通りです。
- 高齢者等は危険な場所から避難する必要がある。
- 高齢者等の「等」には、障害のある人等の避難に時間を要する人や避難支援者等が含まれることに留意する。具体的にとるべき避難行動は、「立退き避難」を基本とし、洪水等及び高潮に対しては、ハザードマップ等により屋内で身の安全を確保できるか等を確認したうえで自らの判断で「屋内安全確保」することも可能である。
- 本情報は高齢者等のためだけの情報ではない。高齢者等以外の人も必要に応じ、出勤等の外出を控えるなど普段の行動を見合わせ始めたり、避難の準備をしたり、自主的に避難するタイミングである。
高齢者等避難は、避難行動が完了するまでに時間が必要な人のための情報です。
ガイドラインにあるとおり「高齢者等」にあたらない場合も避難の準備を行うこと、場合によっては避難を行うことが重要であり、決して「まだ安全」という意味ではないことに留意しましょう。
避難指示
避難指示の情報は、ガイドラインによると以下のように説明されています。
災害が発生するおそれが高い状況、即ち災害リスクのある区域等の居住者等が危険な場所から避難するべき状況において、市町村長から必要と認める地域の必要と認める居住者等に対し発令される情報である。居住者等はこの時点で避難することにより、災害が発生する前までに指定緊急避難場所等への立退き避難を完了することが期待できる。
上記の「必要と認める地域の必要と認める居住者等」とは、例えば浸水想定区域内のマンション低層階や平屋に居住する人等の立退き避難をしないと命の危険がある人を指します。
逆に上層階の居住者等に対しては、必ずしも立退き避難を求めないこともあります。
なお、この規定は緊急安全確保にも適用されます。
情報に対して要請される行動は以下の通りです。
- 発令された際には、居住者等は危険な場所から全員避難する必要がある。
- 具体的にとるべき避難行動は、「立退き避難」を基本とし、洪水等及び高潮に対しては、 ハザードマップ等により屋内で身の安全を確保できるか等を確認したうえで自らの判断で「屋内安全確保」することも可能である。
避難指示と高齢者等避難の大きな違いは対象範囲です。
避難指示は「指示」なので、対象地域の対象者全員が避難行動を行う必要があります。
緊急安全確保
緊急安全確保の情報は、ガイドラインによると以下のように説明されています。
災害が発生又は切迫している状況、即ち居住者等が身の安全を確保するために指定緊急避難場所等へ立退き避難することがかえって危険であると考えられる状況において、いまだ危険な場所にいる居住者等に対し、「立退き避難」を中心とした避難行動から、「緊急安全確保」を中心とした行動へと行動変容するよう市町村長が特に促したい場合に、必要と認める地域の必要と認める居住者等に対し発令される情報である。
ただし、災害が発生・切迫している状況において、その状況を市町村が必ず把握することができるとは限らないこと等から、本情報は市町村長から必ず発令される情報ではない。
緊急安全確保は、高齢者等避難・避難指示の際と同じ行動をしていては立退き避難や屋内安全確保が必ずしも安全にできない状況になってしまった時に発令されます。
情報に対して要請される行動は以下の通りで、「緊急安全確保」がメインとなります。
- 発令された際には、居住者等は命の危険があること から直ちに身の安全を確保する必要がある。
- 具体的にとるべき避難行動は、「緊急安全確保」である。
避難情報と避難行動を理解して安全を確保する
避難情報ととるべき避難行動はリンクしているため、それぞれの情報の内容や情報に対してとるべき行動を理解し、あらかじめ準備することが大切です。
どこが安全なのかを事前にハザードマップ等で確認しておき、その結果自宅が安全であると判断できる場合は、自宅に留まって「避難」しましょう。
また、避難情報の発令は暗くなる前の17時台が多くなっています。
特に周囲が暗くなってから屋外に出る「立ち退き避難」を行う際は十分に安全を確保し、可能な限り明るいうちに動くことが重要です。
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