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過去に大きな被害をもたらした台風災害

こんにちは。レスキューナウです。


2024年は「のろのろ台風」と話題になった台風10号をはじめ、10月22日現在までで合計20個の台風が発生し、各地に被害をもたらしました。


10月も半ばを過ぎたことで台風シーズンのピークを抜け、ニュースになることは少なくなってきましたが、過去の事例を見ると11月や12月に台風が発生することもあります。


今一度過去に発生した台風の事例を振り返り、来年以降の対策の見直しをしておきましょう。


  「最新気象情報の正しい読み解き方」 資料ダウンロード 大雨、大雪、暴風など、テレビやインターネットでは、日々多様な種類の気象情報が発表されています。 しかし、中には聞きなじみのない情報もあるために、「何をどのように見たらよいのかわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。 この資料では気象予報士・防災士監修のもと、気象庁のページを参考にしながら、気象情報の種類や意味、発表条件を適切に理解し、防災・BCPに生かすための方法をご紹介します。 株式会社レスキューナウ


この記事の目次[非表示]

  1. 1.台風の発生件数
  2. 2.台風の経路
  3. 3.近年顕著な被害をもたらした台風
    1. 3.1.令和元年房総半島台風
    2. 3.2.令和元年東日本台風
  4. 4.過去に大きな被害をもたらした台風
    1. 4.1.室戸台風
    2. 4.2.狩野川台風
    3. 4.3.伊勢湾台風
  5. 5.もしもの時への備えを


台風の発生件数

2024年7月までの台風の発生数は4個と平年の半分程度の数でしたが、8月になると日本の南海上で「台風のたまご」である熱帯低気圧が発生しやすい状況に変わり、台風が次々と発生しました。


これは太平洋高気圧の日本付近への張り出しが弱まるとともに、その縁を回る東寄りの風と日本の南海上を吹く西寄りの季節風がぶつかることで反時計回りの風の循環(モンスーンジャイア)が起こりやすくなったためです。


以下の表を見ても分かる通り、台風の発生数や接近数が特に多いのは8月・9月であり、今年も例年通りの傾向となっています。


出典:台風の発生数|気象庁


出典:台風の平年値|気象庁



台風の経路

8月は台風の経路に大きな影響を及ぼす偏西風(上空を流れる強い西寄りの風)が主に日本の北を通っているため、台風本体の移動速度は遅く、経路も不安定なことが多くなります。


また、台風といえども、太平洋高気圧の中を突っ切って進むことはできないため、高気圧の勢力が強いうちはなかなか本州付近には近づけず、沖縄や東シナ海方面へ進むことが多い時期でもあります。


出典:台風の発生、接近、上陸、経路|気象庁


2024年8月下旬から9月初めにかけて大きな影響を及ぼした台風10号はまさに「迷走台風」でした。


発生当初は日本の南海上を北上し、四国や近畿地方に上陸後、速度を上げて本州を縦断する予想でしたが、実際には同時期に日本の南海上に発生した寒冷渦に引き寄せられる形で、当初よりも西寄りの進路をとりました。


また、日を追うごとに台風の動きが遅くなったことで、長期間にわたって西日本から北日本にかけての広い範囲に大雨や暴風をもたらしました。


9月以降は太平洋高気圧の日本付近への張り出しが徐々に弱まるとともに、秋雨前線が南下し、上空を流れる西寄りの強い風も本州付近まで下がります。


台風が本州付近を通過することが増えるとともに、接近数や上陸数が増加し、秋雨前線の活動も活発になるため、9月以降は大雨による災害につながりやすい時期でもあります。


近年顕著な被害をもたらした台風


近年、顕著な被害をもたらした台風としては、2019年に上陸した「台風15号」や「台風19号」が記憶に新しいかと思います。


気象庁は、防災関係機関などによる災害発生後の応急・復旧活動の円滑化を図ること、また当該災害の経験や教訓を後の世代に伝えることを目的として、過去に顕著な被害をもたらした台風に名称をつけています。


台風○号という名前では思い出せなくても、「令和元年房総半島台風」「令和元年東日本台風」と聞くとピンと来る方もいらっしゃるかもしれません。


ここからはそれぞれの台風の概要や被害を振り返っていきます。


【関連記事】

  台風の強さを判断する基準は? 企業のBCP担当者が「台風情報」を読み解くうえで参考になる情報を紹介しています。 株式会社レスキューナウ


令和元年房総半島台風

令和元年房総半島台風は、2019年9月9日に千葉市付近に上陸し、関東地方を北上しました。


千葉市では、最大風速35.9m/s、最大瞬間風速57.5m/sを観測。


関東地方南部を中心に19地点で観測史上1位の値を更新し、記録的な暴風となったのが大きな特徴です。


特に千葉県の被害が大きく、停電は一時900,000軒以上にのぼったほか、君津市では送電線の鉄塔が倒壊、市原市ではゴルフ練習場の支柱やネットが住宅に倒れるといった被害も発生しました。


負傷者は150人程度でしたが、75,000棟を超える家屋が半壊または一部損壊するなど、近年では大きな規模の災害になりました。


サイズとしては比較的コンパクトな大きさで、台風本体の雨雲の範囲が狭く、付近に秋雨前線も停滞していなかったため、雨に比べて強い風の被害の方が大きい、いわゆる「風台風」でした。


こうした「風台風」となったのは、関東地方に接近する直前で、一時的に「非常に強い勢力」まで発達したことが大きな要因です。


出典:令和元年房総半島台風|気象庁


令和元年東日本台風

令和元年東日本台風は2019年10月12日に伊豆半島に上陸し、翌13日にかけて関東地方と東北地方を進み、三陸沖に抜けていきました。


大きな特徴としては顕著な雨を降らせたことで、東海地方や関東甲信地方、東北地方を中心とした広い範囲に記録的な大雨をもたらしました。


神奈川県箱根町では、台風が上陸した12日の1日だけで10月の月平均降水量の2.5倍近くに相当する922.5mmの雨が降り、日降水量の全国歴代1位の記録を更新しています。


この大雨により、東京都の多摩川や長野県の千曲川など全国74河川の約140か所で堤防が決壊したり、内水氾濫が多数発生したほか、土砂災害も962か所で起きました。


死者は100人を上回り、建物被害は合計で90,000棟を超え、神奈川県川崎市の武蔵小杉地区では浸水によりタワーマンションが長期間停電、断水する被害も発生しました。


死者が三桁に達するのは近年の台風災害でもまれであることから、平成以降で最強クラスの台風であったと言えるでしょう。


強い風による被害もでましたが、まとまって降った雨による被害の方が大きい、いわゆる「雨台風」でした。


こうした「雨台風」となったのは、台風の進行方向北側に秋雨前線が停滞しており、台風本体の雨雲に前線の雨雲が加わったことが大きな要因です。


気象庁はこの令和元年東日本台風の接近に先だって行われた臨時会見の中で、匹敵する規模の台風として「狩野川台風」を例に挙げました。


出典:令和元年東日本台風|気象庁


過去に大きな被害をもたらした台風

ここまで、比較的最近発生した台風を取り上げ、その被害を振り返ってきましたが、ひと昔前の昭和の時代にはどのような台風被害があったのでしょうか。


有名なものとして「室戸台風」や「伊勢湾台風」などを耳にしたことがある方が多いかもしれません。


ここからは代表的な2つの台風と、令和元年東日本台風の際に例として挙げられた「狩野川台風」の概要や被害を振り返っていきます。

室戸台風

室戸台風は1934年9月21日に高知県室戸岬に上陸し、大阪府など関西地方を中心に高潮や強風による甚大な被害をもたらしました。


死者・行方不明者は3,000人を超え、家屋の損壊数は90,000棟を上回りました。


上陸時の中心気圧911hpaは、現在でも観測史上最低とされています。


出典:室戸台風|気象庁


狩野川台風

猪野川台風は1958年9月27日未明に神奈川県三浦半島に上陸、東日本・北日本を北上しました。


北上した前線が東海・関東地方に大雨をもたらし、静岡県の狩野川が氾濫、東京都や神奈川県など首都圏でもがけ崩れや浸水の大きな被害がでました。


関東地方や静岡県を中心に、死者・行方不明者1,000人以上、家屋の損壊数は4,000棟を上回りました。


出典:狩野川台風|気象庁


伊勢湾台風

伊勢湾台風は1959年9月26日に和歌山県潮岬に上陸し、紀伊半島から東海地方を中心に暴風や高潮による甚大な被害をもたらしました。


過去の台風災害の中で唯一、死者・行方不明者が5,000人を超える人的被害が発生しています。
被災した家屋も500,000棟以上にのぼりました。


災害対策の基本理念を定めた「災害対策基本法」は、この伊勢湾台風をきっかけとして制定されています。


出典:伊勢湾台風|気象庁


もしもの時への備えを

これまでにご紹介してきた内容から、台風は接近・上陸時の強さがほぼ同じ場合でも、人的・物的被害には大きな差があることがわかります。


主な理由としては、近年の数値予報技術や河川堤防強化などのハード面での防災対策の向上などが挙げられます。


現在、台風は最大5日前から出される進路予報などにより、事前に備えることができる災害となってきたことで、昭和の頃のような大きな被害が出ることはほとんどなくなってきました。


これからも被害を減らしていくために、予報技術のさらなる向上が期待されるところではありますが、防災意識を高め、もしもの時に備えて日頃から備えておくことも大切です。

  • あらかじめ自宅のある自治体のハザードマップを確認し、風水害の危険性を知っておく
  • 防災グッズを入れたリュックを平常時に準備し、すぐに持ち出せるようにしておく
  • 避難所の場所や避難経路を家族や同僚と話し合い、日頃からしっかりと把握しておく
  • 気象庁が発表する注意報・警報などの「防災気象情報」を理解しておく
  • 自治体が発令する「避難情報」の意味を理解しておく


また、災害や危機が発生した際に抜け漏れなく情報を収集することは、非常に大変です。


ツールの導入など、状況に応じて迅速・適切な情報収集のための環境を整えておきましょう。

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