【まもなく年度末】備蓄品管理のコツ
さて、気づけば年度末が近づいてきました。 人の入れ替わりも多い時期、災害用備蓄品の管理について改めて考えてみました。
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そもそもなぜ備蓄品を置くのか?
災害は「発生から72時間が救助のカギ」と言われています。 要救助者の生存率は、72時間を境に急激に低下します。 72時間以内は救助を最優先する、むやみに移動せず安全な場所に待機しよう、という考え方です。
なお、東日本大震災後、東京都は「帰宅困難者対策条例」を制定し、事業所は、従業員の3日間分の水・食料などを備蓄するよう定めています。 大阪府は条例化はしていませんが、同様の対応を求める「事業所における「一斉帰宅の抑制」対策ガイドライン」を定めています。
どのような品を備蓄すれば良いのか?
東京都の条例では「3日分の飲料水、食料その他災害時における必要な物資」を備蓄するよう定めています。 2015年に内閣府が定めた「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン」に、より具体的な内容が記されていました。
- 水:ペットボトル入り飲料水を、1人当たり1日3リットル(計9リットル)
- 主食:アルファ化米、クラッカー、乾パン、カップ麺を1人当たり1日3食(計9食)
- 毛布:1人当たり1枚
- その他の品目については、物資ごとに必要量を算定する
「その他の品目」として、
- 毛布やそれに類する保温シート
- 簡易トイレ、衛生用品(トイレットペーパ等)
- 敷物(ビニールシート等)
- 携帯ラジオ、懐中電灯、乾電池
- 救急医療薬品類
を挙げています。
またこの他、東京都のサイトでは、「備蓄の10%ルール」にも触れています。来客など外部の帰宅困難者のために、共助の観点から10%程度余分に備蓄をする、という考え方です。
本当に備蓄はそれだけで足りるの?
備蓄品は条例で推奨されている物以外に、オフィスの立地特性や業種によって変わる場合があります。 電車通勤の人が多い立地の会社ならば、帰宅困難になる確率が高くなります。電車の運行停止は、地震以外にも台風やゲリラ豪雨、電車の事故、テロ等でも発生します。
自然災害への備えは他にも重要です。河川や山が近ければ浸水対策の土のうやシート、土砂片付けの工具などが必要で、火山が近ければ噴火に備えゴーグルとマスクを準備します。車通勤や社用車移動が多い会社ならば車載用の備蓄キット、車いすを利用される社員がいれば階段避難器具など、働き方や従業員の状況に合わせた対策も求められます。
オフィス内への警察・消防への通報要領の掲示、必要箇所への蓄光テープの貼付、帰宅困難時の宿泊ガイド(どの会議室を男女別宿泊所とするか、来客の扱いはどうするか、など)も定めておく必要があります。
救助がすぐに来ない可能性もあります。挟まれた、倒れてきたなどの状況に、予め転倒防止器具を設置する準備はもちろん、自衛消防活動に必要な破壊工具なども必要です。割れたガラスなどを安全に片付けるためのホウキ・ちりとりなど、電気を使わずに片付けが可能な掃除用品も予め準備しておきましょう。
内閣府のガイドラインでも衛生用品の準備ついて挙げていますが、ガイドラインが推奨するのものの他に、身体やオフィスの清潔を保つウェットシートや消毒剤、マスクも準備しておくと良いでしょう。 ちなみに、使用済み簡易トイレは備えていても、一時保管場所や処理をどうするかまったく決めていない会社がほとんどです。ぜひビル管理会社等と相談すべきです。
備蓄品の保存期間・期限、効率的な入れ替え方法
備蓄品には、5年、7年、10年といった期限があります。 例えば食品は5年保存、水は7年保存、簡易トイレは10年保存を導入し、一気に更新が来ないように分散する方法もあります。 期末、年度末は注文が集中するため、注文時期によっては希望する納期に間に合わない場合もあるそうです。ご注文はお早めに。
ちなみに、今年は東日本大震災から9年。 震災を機に整備した事業所では、5年または10年の備蓄品の期限が近づいているかもしれません。 防災担当から異動される方は引き継ぎ前に、新たに担当となった方は初仕事に、引き続き担当される方も、年度末のこの機会に備蓄品のチェックをぜひ行ってみてはいかがでしょうか?