避難指示よりも危険な段階「災害発生情報」とは
■この記事の情報は、2020年8月24日現在の情報です。
この記事の目次[非表示]
- 1.災害発生情報とは
- 1.1.警戒レベル5:すでに災害が発生している状況
- 1.2.どの範囲で発令されるの?
- 2.災害発生情報が出ない場合もある!?
- 2.1.災害を覚知できたか?
- 2.2.発令はされたけれども
- 2.3.実際の発令は
- 2.4.芦北町の場合
- 2.5.津奈木町の場合
- 2.6.地域の状況で対応も分かれる
- 3.「災害発生情報」発令時、どのような行動を取る?
こんにちは。
レスキューナウ ブログ担当です。
7月から8月にかけて、九州地方を襲った大雨。
各地で多数の避難情報が発令されました。(避難情報の場合、「発表」ではなく「発令」が使われます)
その中で、一部に自治体から「災害発生情報」という情報が発令されていました。
今回は、この災害発生情報について、位置づけや実際の状況を調べてみました。
※2021年5月20日、避難情報は大幅に変更されました。災害対策基本法改正後の避難情報と防災気象情報の対応表はこちらをご覧ください。
災害発生情報とは
警戒レベル5:すでに災害が発生している状況
災害発生情報は、昨年に警戒レベルが導入された際に、併せて導入されました。
3段階の避難情報の中では緊急性が最も高い「避難指示(緊急)」の、さらに上の段階と位置づけられています。
ちなみに「避難勧告」「避難指示(緊急)」は警戒レベル4でしたが、この災害発生情報は警戒レベル5です。
警戒レベル5とは「既に災害が発生している状況であり、命を守るための最善の行動をする」段階とされています。
どの範囲で発令されるの?
これまでの避難情報と同じく、市町村長が発令します。
市町村ごとに、市町村内を地域で区切って、あるいは市町村全体に対して発令されます。
どのように発表が伝えられるの?
これまでの避難情報と同じく、テレビやラジオ、市町村からのメール、防災無線の放送、インターネットの情報サービスで伝えられます。
ただし、既に災害が発生している状況ですから、普段どおりの手段では情報が得られないかもしれません。
複数の情報を得られる手段を準備しておくのが良いでしょう。
災害発生情報が出ない場合もある!?
災害を覚知できたか?
内閣府等の資料を見ると、災害発生情報にはこのような注記がされています。
「災害が実際に発生していることを把握した場合に、可能な範囲で発令されます」
つまり、実際に災害が発生していても、災害発生情報が出ない場合がある、ということです。
災害発生を把握できない場合もありますし、「既に災害が発生している」状況な訳ですから、本来情報を出す市町村が情報をである状況にない、という事態も考えられます。
もし避難するならば、警戒レベル4の「避難勧告」や「避難指示(緊急)」の段階で、必ず避難していただきたいです。
発令はされたけれども
報道によると、大分県由布市では、2020年7月8日の01:00に災害発生情報を発令し、市のホームページなどで広報していました。
しかし、市と県の間で情報共有が上手く行かず、また災害時の情報共有で使うシステムが災害発生情報に対応しておらず、結果的に発令はしたものの、広く伝わりませでした。
一部の自治体では、現在も災害発生情報にシステム上対応しておらず、災害情報を報道機関やインターネット情報サイトと共有するシステムにも表示されない状況です。
徐々に改修が進められており、将来的に解決しますが、現状として災害発生情報が出されても広く伝わらない場合があると言えます。
由布市では、職員が住民からの電話対応などに追われていた、という状況でもありました。
このような時に報道機関の取材も不可能で、システム上の対応が不可欠と言えます。
県と由布市 豪雨での災害発生情報の発令を共有できず(2020年8月4日・OAB)
実際の発令は
令和2年7月豪雨で、熊本県芦北町と津奈木町を例にとって見てみます。
隣接する町ですが、その対応には違いがありました。
芦北町の場合
7月4日深夜01:15、芦北町は降り続く雨による土砂災害への警戒を理由に、町内全域に避難準備・高齢者等避難開始を発令しました。
さらに早朝の05:00、大雨特別警報の発表により災害発生情報を発令しました。
その後、特別警報の解除に伴い、11:20に避難勧告を発令し、この段階で災害発生情報は解除となりました。
津奈木町の場合
7月4日深夜02:07、津奈木町は芦北町と同じく土砂災害への警戒を理由に、町内全域に避難勧告を発令しました。
早朝04:53、避難指示(緊急)が発令され、避難勧告からより緊急性の高い段階となります。
直後の04:57、大雨特別警報の発表により災害発生情報を発令しました。
その後、14:58に避難指示(緊急)が発令、災害発生情報は解除となりました。
地域の状況で対応も分かれる
このように、同じ災害で隣接する自治体でも、その対応が分かれます。
市街地か農村か、平地が多いか山間か、海辺か内陸か、一概に言えません。
ただ一つ「まだ避難準備の段階だから大丈夫」とは言えない、という点です。
早めの準備、早めの行動がカギです。
「災害発生情報」発令時、どのような行動を取る?
さて、いざ災害発生情報が出されたら、どのように行動すれば良いのでしょうか。
内閣府や気象庁の資料では、「命を守る最善の行動を取る」とされています。
命を守る最善の行動=避難所への避難、ではありません。
もちろん、避難所への避難が全てダメだ、という訳ではありません。
しかし既に災害が発生している状況の中で、避難所へ向かうことが既に不可能かもしれません。
この段階になるとむしろ、屋内での安全確保も大切な選択肢です。
避難所への避難も考慮しつつ、「何が最善か?」を考えて行動を取られてください。
(参考文献)
避難勧告等に関するガイドラインの改定(平成31年3月29日)(内閣府)
防災気象情報と警戒レベルとの対応について(気象庁)
※2021年5月20日、避難情報は大幅に変更されました。災害対策基本法改正後の避難情報と防災気象情報の対応表はこちらをご覧ください。