簡易無線のデジタル化?災害用連絡ツール切替は2024年11月までに!(2022年2月1日追記)
こんにちは。
レスキューナウ ブログ担当です。
簡易無線局のデジタル化に伴い、2024年12月1日以降、アナログ簡易無線の使用を禁止すると総務省から発表されています。
免許申請、機器本体の改修、買い替えなど、デジタル化へは意外と時間がかかるものです。さらに、使用期限終了後にアナログ簡易無線を利用すると、罰則も発生します。
業務利用、または災害時に備えて備蓄している簡易無線機は、デジタル簡易無線機に変更されていますか?期限までまだ1年以上ある、と余裕に構えていませんか?
「直前すぎて間に合わない!」「知らずに違法行為していた!」なんてことにならないよう、今からデジタル簡易無線への切り替えを始めましょう!
◇総務省 電波利用ホームページ 簡易無線局のデジタル化について
※2022年2月1日追記:アナログ簡易無線局の周波数の使用期限が2年延長(2022年11月30日→2024年11月30日)されました。延長についての詳細は上記総務省HPをご覧ください。
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簡易無線とは?無線のおもな種類
簡易無線機とは、簡単に申し上げますと「停電時にも利用できる通信方法のひとつ」です。
私たちが普段使用している通信手段、例えば携帯電話、PHS、TV放送、ラジオ、Wi-Fiとは異なる周波数を利用しているため、停電時でも無線機同士で通信することができ、緊急時の連絡手段として利用されています。
※参考:総務省 電波利用ホームページ|周波数帯ごとの主な用途と電波の特徴
(引用:総務省 電波利用ホームページ|使用状況の詳細(令和3年3月1日現在)335.4MHz~960MHz)
“無線”と呼ばれるものはいくつかあります。業務利用から個人利用まで多く利用されていますが、比較的馴染み深い無線の主な種類をご紹介しましょう。
<無線の主な種類>
防災無線 |
官公庁や自治体など人命にかかわる通信を確保する為に整備された専用無線システム。
使用例:自治体の避難放送、児童の下校放送
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一般業務用無線 |
公共性の高い業種に用いられる無線機。 出力は10W以下で、社内に無線従事者資格の所持者が数名必要。 法人ごとに周波数が割り当てられている。 使用例:タクシー無線 |
簡易無線 |
簡易無線業務を行う無線局。 出力は5W以下で、2~3kmの範囲で通信可能。 無線従事者資格は不要で、使用免許の申請だけで使用が可能。 ※申請許可が下りるまで1ヶ月程度かかる。 サービス業で利用されている所謂トランシーバーやインカムはほぼ簡易無線機をさしている。災害対策本部でもよく利用される。 使用例:飲食店のインカム、警備、イベント運営、工場内連絡、防災備蓄など |
特定小電力無線 |
簡易無線よりさらに狭い100~200mの範囲で通信可能。 道路工事現場などで使用されていることが多い。 免許や資格が不要で、購入して直ぐに使える。操作も簡単。 |
IP無線 |
携帯電話用の周波数を使用して通信する無線機。他の無線機同様にチャンネルを合わせて一斉同報できる。 免許や資格が不要で、購入してすぐに使える。簡易無線機より距離を重視したい人にはオススメ。 ただし、停電すると使用できない(Wi-Fiが利用できる機種もあり)。 |
簡易無線は上記の通りサービス業ではもちろん、自治体や民間企業では災害時の緊急連絡手段として、避難誘導、災害対策本部メンバー間の連絡に活躍します。
また、工場等では生産ラインを止めないための連絡手段、医療現場ではDMAT(災害派遣医療チーム)等、各々有事の際を想定したBCP用途もされています。
簡易無線の種類:アナログ方式とデジタル方式
さて、ようやく本題に近づきました。簡易無線には、それぞれ異なる周波数が割り当てられているアナログ簡易無線とデジタル簡易無線があります。
アナログ |
◇ 長所
・タイムラグが短い
・音声が途切れづらい(入り組んだ場所でも届きやすい)
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◇ 短所
・ノイズが入りやすい。
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デジタル |
◇ 長所
・ノイズが少なく音質がクリア
・混信しにくく秘話性に優れる
・直進の通信距離が長い。
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◇ 短所
・アナログ方式と比べ音声が途切れやすい(障害物に弱い)
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※アナログ簡易無線機とデジタル簡易無線機で交信することはできません。
どちらも通信可能な範囲は2~3㎞。決してアナログが悪い、デジタルが良いというわけではありません。混信や音質を重視するならデジタル、音声が途切れないことやタイムラグを重視するならアナログ、など一長一短の選び方があります。
例えば映像制作の現場ではコンマ秒単位を重要視するため、タイムラグが少ないアナログ簡易無線をあえて選ぶこともあったそうです。
しかし、電波は有限希少な資源です。簡易無線に限らず、電波を活用した製品は年々増え続け、今後も電波の利用ニーズが高まり続けることが想定されます。
もともとデジタル簡易無線は電波を有効利用するために、電波を細分化しより少ない周波数帯で通信できる簡易無線として2008年に新設され、デジタル化が進められてきました。
これに伴い、アナログ簡易無線の使用期限が2024年11月30日となることが決定しています。2024年12月1日以降はすべてのアナログ簡易無線機が使用禁止となるのです。
※2022年2月1日追記:アナログ簡易無線局の周波数の使用期限が2年延長(2022年11月30日→2024年11月30日)されました。延長についての詳細は次の総務省HPをご覧ください。
2024年12月1日以降のアナログ簡易無線機の使用制限及び罰則について
すべてのアナログ簡易無線機は2024年12月1日以降使用禁止となります。
※厳密には350MHz帯(348.5625MHz~348.8MHzの「小 エリア簡易無線局」)及び400MHz帯(465.0375MHz~465.15MHz、468.55MHz~ 468.85MHz)が対象。150MHz帯、900MHz帯、50GHz帯は対象外です。
(引用:総務省 電波利用ホームページ|その他|簡易無線局のデジタル化について )
使用禁止後も物理的には発呼可能な為、2024年12月1日以降にアナログ簡易無線を使用した場合は「使ってはいけない電波を勝手に使用した」ということになります。アナログ波を発射した場合、電波法違反で罰則の対象となってしまいます。
違法行為をしないためにも、デジタル簡易無線機への変更が必須です。
※根拠法:電波法施行規則第13条関係告知の条件、電波法設備規則(附則)
(参照)
・総務省|電波利用ホームページ|無線設備規則
・インターネット版官報|無線設備規則の一部を改正する省令(平成20年8月29日総務省令第96号)
※総務省によりますと、新型コロナウイルス感染症による社会経済への影響等により、使用期限を2年延長する改正案を作成し、2021年6月14日まで意見公募しています。
→2024年11月30日まで延長が決定しました。詳細は下記をご覧ください。
総務省|報道資料|無線設備規則の一部を改正する省令の一部改正案等に係る意見募集
総務省 電波利用ホームページ|その他|簡易無線局のデジタル化について
アナログの使用率と切替状況
陸上無線協会によりますと、使用禁止の対象となるアナログ簡易無線局は全国で152万局残っており、停波措置が済んだ無線局は約6.5%にとどまっているそうです(2021年3月時点)。
これからデジタル簡易無線への変更申請を行う団体がこれだけ多く残っていますので、使用期限間近での申請は非常に混雑することが予想されます。ぜひ今からデジタル簡易無線への変更準備を始めましょう!
※陸上無線協会を通さずに申請した免許は上記に含まれておりません。
アナログからデジタルへの変更手続きについて
デジタル簡易無線への変更には、免許の変更申請、無線機本体の買い替えまたは改修が必要となります。これらには約1ヶ月程度かかる見込みのため、早めに準備を進めましょう。
<簡易無線機の「デジタル化施行時期」と「変更時期の目安」>
・例1:9月の防災訓練に間に合うように移行する例
・例2:ギリギリまでアナログ式を使用、期限の年に移行する例
簡易無線機の見分け方
アナログ式、デジタル式、デュアル式(アナログ周波数とデジタル周波数の両方が使用できる機器)の3タイプが存在します。
デジタル簡易無線が新設された2008年より前に購入されたものはアナログ式ですが、これらを見た目で判別することは難しいです。簡易無線を利用内容が記載された免許状を確認するか、見つからない場合は写真や型番を控えてメーカーや販売店に確認しましょう。
無線機タイプ別、デジタル化の手順
アナログ無線機
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◇2024年11月30日以降、無線機を使用しない(廃棄する)場合
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◇2024年11月30日以降もデジタル無線機に移行し使用する場合
→ デジタル無線機の免許申請 ※無線機は産業廃棄物です。廃棄の際はご注意ください。 | |
アナログ/デジタルの
デュアル方式無線機
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→ 無線局の変更申請 → 無線機本体からアナログ波を発射しないように本体の改修 |
デジタル無線機 |
→ 新たな申請不要。利用中の無線機はそのまま使用可。 |
※特定小電力無線
※IP無線機
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→ デジタルへの変更なし、そのまま使用してOK。 ※見た目が似ているが、「簡易無線」ではない。 |
これらは販売店での申請代行も可能です。とくにデュアル式は免許申請の他に、アナログ波を発射しないための改修作業が必要となりますので、要注意です。こちらは専門ケーブルでの作業となり素人では難しく、遠隔操作での改修もできないため、専門業者に依頼しましょう。
長年デュアル式の簡易無線機を使用している場合は老朽化も懸念されますので、これを機にデジタル式へ買い替えることもオススメです。デジタル簡易無線機は1台数万円から販売されており、レンタルの場合は月2,000円前後から利用できるものもあります。アナログ機が20万円程で販売されていた時代もあることを考えると、以前よりかなり導入しやすくなったのではないでしょうか。
デジタル化への手続きは非常にややこしく、また使用期限が迫る2024年の9月以降は申請や需要が集中しさらに時間を要することが予想されるため、今から準備を始めましょう!
企業の緊急時の連絡手段として
デジタル簡易無線機 導入のメリット
簡易無線は、基本的に停電などの影響を受けず1対nの通信ができるのが大きな特徴。なぜなら無線機と無線機同士の電波のやり取りだからです。
デジタル無線はさらに、音質・秘話性が向上します。アナログ簡易無線機と比べてノイズが少なく、混信もしにくいため、災害時でもよりクリアな音声で秘話性高く連絡を取ることが可能です。
敷地が広い工場やオフィスにとって主要な防災備蓄品でもあります。災害発生時や発災後のBCP対応の中で、簡易無線機を緊急連絡手段として導入している企業も多いかと思います。
避難誘導、情報共有、報告手段として、メンバー間の連絡に多く利用されています。
とくに大地震や風水害の影響によってインターネットや電話が使えない時には非常に有効です。
例えば停電時には、広い工場やオフィス内を人が駆け回って被害情報を集め、それを集約するためにこんどは集合しないと共有、報告ができない、、、という状況が容易に想像できます。
そんな時、簡易無線機であればスピーディに被害情報収集や共有、報告ができますので、未導入の企業にはぜひ検討していただきたいツールです。
<デジタル無線 緊急用連絡手段としての導入メリット>
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通信エリアが狭いなど、簡易無線機の機能に限界を感じている場合は、IP無線機など広域無線機への代替も良い方法です。ただし、IP無線機は携帯電話用の周波数を使用しているため、停電時には利用できません(少し移動し停電エリアから抜けると通信できる可能性はあります。また、館内Wi-Fiが生きていれば、Wi-Fiを利用できるIP無線機もございます。)。
どれが自社に合う連絡手段か利用シーンをイメージした上で無線機を購入すれば、想定した利用方法ができない!という事態も回避できますので、きちんと無線機のメリット、デメリットを把握しておくことも大切です。さらに、導入前には一度デモを行い、自社の環境で問題なく使用できるか確認することも推奨します。
とくに近年、自然災害が増加傾向にあることは日々のニュースからも感じ取れるのではないでしょうか。何かあってからでは遅い災害対策、早め早めの準備をしたいものです。
せっかくのBCPが無駄にならないように、また知らずに違法行為をしていて罰則、なんてことにもならないように、簡易無線のデジタル化を行いましょう。
買い替える時にこれも確認!デジタル簡易無線の免許局と登録局
デジタル簡易無線局は免許局と登録局に分けられています。性能に大きな違いはありませんが、利用時の申請内容と、申請者以外の使用可否(レンタルなど)が異なりますので注意しましょう。
免許局 |
・1台ごとに総務省への免許申請が必要。 →レンタル不可。 ・法人や団体での利用を目的とされ、業務利用や法人の災害備蓄用におすすめ。 ・65チャンネルあるので、混信の可能性が低く秘話性が守られる。 |
登録局 |
・免許された団体以外の人の利用が許される。 →レンタル可能。 ・通信機器所持団体によるリースや有事の際のみのレンタル、個人のレジャー利用も可能。 ・30チャンネルなので免許局より混信の可能性が高い。 |
余談:無線機と無線局は同じ?
「無線機」と「無線局」、厳密には異なるものを指しています。
無線機 |
機械自体の名称。トランシーバーやインカムと呼ばれることも多い。 送信機(トランスミッター)と受信機(レシーバー)の複合体。 |
無線局 |
無線設備や無線操作を行う者の総称。 |
簡易無線、防災備蓄の相談はレスキューナウにお任せを!
レスキューナウでは、防災備蓄のご相談を承っています。
「簡易無線機をデジタル化したい」
「緊急連絡手段を新たに用意したい」
「簡易無線機のデジタル化を機に防災備蓄品を見直したい」
など…お客様のご状況に最適な防災備蓄を提案いたします。ぜひお気軽に、下記フォームよりご相談ください。
備蓄品の優先順位など全般的な悩みを相談したい…という方はこちらからもご相談ください。
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