防災訓練大全!企業が実施すべき19選と自治体が行う9選を解説
企業で実施する防災訓練には全従業員向けや災害対策本部、自衛消防隊などを対象にした多種多様な種類があります。
BCPを作ったままになっている…災害時に実際に動けるか自信がない…というお悩みがよく寄せられます。その場合は、ぜひ防災訓練を実施して問題点を洗い出し、BCPや対応マニュアルを見直すことがオススメです。
この記事では、企業における実践的な防災訓練の種類や実施方法、企業が防災訓練を行う意義について解説します。
この記事の目次[非表示]
- 1.防災訓練とは
- 2.企業の防災訓練と自治体が実施する市民向け防災訓練の違いは?
- 3.全従業員向けの防災訓練
- 3.1.通報訓練
- 3.2.初期消火訓練
- 3.3.応急手当訓練(心肺蘇生、AEDなど)
- 3.4.救助訓練(シミュレーション訓練)
- 3.5.避難訓練
- 3.6.帰宅困難対策訓練
- 3.7.安否確認訓練
- 3.8.リモート防災訓練
- 4.自衛消防隊・災害対策本部事務局(CMT)・災害対策本部の防災訓練
- 4.1.自衛消防隊編成訓練
- 4.2.インストラクター育成訓練(自衛消防隊向け)
- 4.3.情報収集訓練(CMT向け)
- 4.4.災害対策本部立ち上げ訓練
- 4.5.意思決定訓練
- 5.機能別、想定別の防災訓練の一例
- 6.自治体が市民向けに実施する防災訓練
- 6.1.避難所訓練
- 6.2.炊き出し訓練
- 6.3.住民協力要請の訓練
- 6.4.避難所運営ゲームHUG(ハグ)
- 6.5.発災対応型防災訓練
- 6.6.災害図上訓練DIG
- 6.7.災害対応カードゲーム「クロスロード」
- 6.8.図上シミュレーション訓練
- 6.9.シェイクアウト訓練
- 7.すぐ役に立つ防災訓練サイト・教材
- 8.よくあるご質問
- 9.まとめ
防災訓練とは
防災訓練には、企業や自治体で多種多様な種類があります。企業での防災訓練は従業員の安全を確保することが目的で、火災や地震など様々な災害に備えます。商業施設や小売、病院や介護施設などでは来店、入院、利用しているお客様の安全を確保することもに含まれます。
企業で行う防災訓練には一般的に、避難訓練、初期消火訓練、通報訓練、応急救護訓練などがあります。こういった全従業員向けの訓練の他にも、災害対策本部、自衛消防隊、CMT(災害対策本部事務局)向けの訓練など企業特有の防災訓練もあります。
企業の防災訓練と自治体が実施する市民向け防災訓練の違いは?
自治体が実施する市民向けの防災訓練は、自助共助と呼ばれる市民自身および隣近所での助け合い(互助活動)ができるように実施されます。
例えば、炊き出し訓練、避難所訓練、シェイクアウト訓練などが代表的です。自治体が情報発信しているSNSアカウント登録を促すこともあるでしょう。地域住民として避難訓練や消火訓練などに参加したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
企業でも自治体でも、災害時に安全を確保するという目的は同じですが、企業の場合はその先に「事業を継続させる(損失を最小限にとどめる)」という目的も出てきます。そのため、安全を確保したのちに、いかに早く通常状態へ戻せる組織作りができるか、という視点で防災訓練を行うとよいでしょう。
全従業員向けの防災訓練
はじめに、全従業員向けの防災訓練を紹介します。
大勢の人数が参加するため、通報、初期消火、応急手当、避難などの基本動作などをトレーニングすることが主な目的です。
自治体が実施する市民向け防災訓練と近いものがあり、災害発生時に速やかに安全を確保する、消防が到着するまでに行うこと、社内で情報共有し混乱を回避するなど、災害時に必要となる基本的な知識や技能を身につけ、組織全体の危機管理力を高めることができます。
企業規模に関わらず、全ての企業が実施すべき防災訓練です。
通報訓練
火災や重傷病者が発生した場合は、まず通報してから初期消火や応急手当をする必要があります。
消防、救急の要請をする時は一刻を争うような場面がほとんどです。躊躇いなく遅滞なく通報できるよう、消火や救急で通報するべき基準を学んだり、消防役と通報者役に分かれて通報の練習を行うことで、通報訓練ができます。
消防から聞かれる内容は各自治体の消防本部等にお問い合わせください。東京消防庁などではウェブサイトに記載されているのに加え、Eラーニングで練習できるようになっています。
初期消火訓練
初期消火訓練は、火災発生から間もない段階の消火訓練です。火災発生時の対処法として、消火器の使い方、周囲への呼びかけ、消火方法などを訓練します。
実際に放射することは難しいかもしれませんが、火災の発見から消火活動を行う一連の流れを行うことでも初期消火訓練となります。
「火が天井に昇るまで」「出火から3分以内」「煙が充満していない」が初期消火できる範囲といわれています。消火活動は一刻を争い、危険を伴います。初期消火訓練の際は消火器の使い方だけでなく、設置場所の把握、消防への通報訓練などもセットで行うことをおすすめします。
また、近隣で火災が発生した場合でも避難や注意が必要な場合があります。以前レスキューナウでアンケートを実施した近隣火災の体験談もぜひご参考ください。
応急手当訓練(心肺蘇生、AEDなど)
応急手当訓練では、心肺蘇生、AED、止血などの応急手当を訓練します。
平時の東京23区内では、救急車が来るまで平均7~8分程度といわれていますが、災害時は救急車がなかなか来られない場合があるうえ、病院搬送後も重傷者の対応が優先されるため、なかなか手当を受けられないかもしれません。
応急手当は運転免許を取得した際に訓練したっきり…という方も多いのでは?軽度のケガは自身でまたは周囲の人々で協力しあって手当できるよう訓練しておきましょう。
救助訓練(シミュレーション訓練)
救助訓練は、閉じ込めや備品転倒により下敷きになっている状況などを想定し、工具や担架を利用して負傷者の救出・搬送を行う訓練です。
職場にはオフィス機器や備品、機材など一般家庭にはない大きなものが多くあり、下敷きになってしまった場合には大人ひとりの手では到底救助できないことが考えられます。そういった際に使用する工具、担架、階段避難車などは普段使い慣れないものばかりですので、訓練しておくとよいでしょう。
レスキューナウでは、シミュレーション訓練という名称で、要救助者役、救助役、評価役の3役を交代しながら全ての役を体験し、より効果的な訓練を体験できるプログラムを用意しています。
▽救助に使用する工具や階段避難車の例
避難訓練
避難訓練は、災害発生直後に安全を確保しながら被害の及ばない場所まで避難するための訓練です。地震時に机の下に隠れる、火災時に避難経路から脱出する、津波や浸水時に安全な場所へ移動するなどが想定できます。
企業の防災訓練において一般的な訓練のひとつですが、マンネリ化しやすい訓練でもあります。身を守るためのシェイクアウト訓練(地震発生の合図とともにとっさに身を守る訓練)を同時に実施すると良いでしょう。
エレベーターを使わない避難経路で避難場所まで実際に歩いたり、誘導係は誰か、担架や車いす用の昇降機はどこにあるか、排煙口を開いたり防火扉やシャッターを閉めながら避難する、点呼・報告の方法なども確認できるとよいでしょう。
火災を想定している場合にはハンカチ等で口を覆いながら姿勢を低くして煙を吸わない練習をしながら避難するやり方もあるされるといいのではないでしょうか。
帰宅困難対策訓練
会社に宿泊する訓練をしたり、職場から自宅へ徒歩で帰宅する訓練です。宿泊時の社内レイアウトは検討しているか、備品は十分かをなどイメージしてみたり、徒歩帰宅できる距離、経路を確認して実際に歩いてもらったり、帰宅困難対策訓練を機に賞味(使用)期限の近い防災備蓄品を使用してみたりします。
この機会に防災用品を試食すると、フードロスの削減にもつながり調理方法や味を確認できるので、次回入れ替え時の参考にもなります。
災害時の徒歩帰宅では従業員様に帰宅経路の距離や危険度、代替ルートなどを検討するワークショップを開いてみるのも良いでしょう。長距離移動に備え、職場に一足運動靴などを置いておくと安心です。
安否確認訓練
安否確認訓練も、避難訓練での点呼とは別に行っておくべき訓練のひとつです。安否確認システムなど災害時の安否確認で使用するツールから災害時と同じように安否確認を発報し応答してもらいます。
災害時には各々の状況により応答がない場合も考えられますが、訓練の場合にはきちんと安否確認メールやアプリのプッシュ通知等が従業員のもとへ届き回答、報告できるかを確認することが目的となりますので、100%の回答率を目指してください。
場所を用意する必要がないため、比較的実施ハードルの低い防災訓練です。
リモート防災訓練
リモート勤務を導入している企業では、いままでに挙げた集合型の防災訓練を実施するのは難しいかもしれません。そういったときには、リモート下での防災訓練を実施することも推奨しています。
例えば避難訓練ではオンライン会議ツールを利用して画面越しに録画撮影した避難経路を動画閲覧してもらったり、防災訓練用の動画教材を活用するという方法もあります。
東京消防庁はじめ、自治体消防によってはリモート防災訓練の映像教材をオンライン公開しているところもありますので、活用してみてください。
注意点としては、安否確認訓練やリモート防災訓練のようにオンラインで行う訓練は対面型の防災訓練に比べて参加の強制力が低くなりやすいため、防災訓練がなぜ必要なのか説明する機会もあるといいかもしれません。
レスキューナウではライブ型、ビデオ型どちらのリモート防災訓練もご案内可能ですので、お気軽にご相談ください。
自衛消防隊・災害対策本部事務局(CMT)・災害対策本部の防災訓練
自衛消防隊、災害対策本部事務局(以下CMT:Crisis Management Team)、災害対策本部向け訓練もあります。
自衛消防隊は、災害発生時に事業所内を見て回り被害確認をしたり、救護通報や初期消火、応急手当、避難誘導にあたる部隊です。
CMTは、災害対策本部が意思決定を行うために必要な情報を収集し、取りまとめ、災害対策本部会議での報告資料を作成する役割を担います。
災害対策本部は、CMTから受けた被害報告をもとに、BCP発動や災害対応の意思決定、指示判断を行います。
それぞれ役割が異なりますが、総じて現場対応力と情報収集能力を高めることを目的とした訓練をお勧めします。以下、弊社が提供する訓練メニューをベースに概要を紹介します。
自衛消防隊編成訓練
自衛消防隊編成訓練は、災害時を想定した被害状況の把握と報告の訓練を行います。訓練方法の一例として、各フロアや建屋に設置(貼付)された被害想定を全て確認し報告することができるか、現地で火災や負傷者等が発生した際に適切に対処できるかを訓練します。
インストラクター育成訓練(自衛消防隊向け)
インストラクター訓練は、社内で防災訓練を行うためのインストラクター養成を目的とした訓練です。
防災訓練を行うたびに外部講師に依頼するのが難しい場合もあるかと思います。自衛消防隊が防災訓練を行う際の社内インストラクターも出来るようにすることで、自社内で任意のタイミングで防災訓練を実施できるといった成果を得られます。
レスキューナウでは、お客様社内でのインストラクター育成をする訓練メニューを有しており、多くの育成実績があります。
インストラクター候補は興味関心がある方であれば、自衛消防隊メンバーでなくても問題ありません。
情報収集訓練(CMT向け)
情報収集訓練は、CMTを対象とし、災害直後を想定して情報の収集から災害対策本部立ち上げ要否の上申、立ち上げ時の被害状況た課題報告までを行うための訓練です。
CMTは必要な時間までに自社内外から必要な情報を取りまとめ報告資料を作成し災害対策本部に社内の被害状況と役員判断が必要な課題を報告します。
必要な時間までに災害対応を開始して災害対策本部への報告をするためには、体制の整備、対応手順の策定、使用ツールの整備、訓練の4ステップが重要です。3つの基本情報(安否、社内、社外)をCMTが一元的に収集する体制を整備し、分刻みの具体的な手順を作成し、手順をこなすための各種支援ツールの活用を検討し、それらが実行できるか確認のため訓練します。
最近では休日夜間やリモート勤務の導入などで、オンライン会議システム等を活用したリモート情報収集訓練をするケースも増えています。
災害対策本部立ち上げ訓練
災害が起きた際に役員を中心とした「災害対策本部」を立ち上げるまでの閾値や手順を確認・実践する訓練が災害対策本部立ち上げ訓練です。
どの程度の災害や被害で立ち上げるのか、メンバーは誰か、どこに集まるのか、役員として災害時に判断すべき項目、意思決定の目標時間などを確認します。
レスキューナウでは、災害対策本部はCMTの災対本部立ち上げ要否の上申を基に参集されることをお勧めしています。
発災後はCMTが2時間ほどで情報集約して役員報告できることを目指す訓練メニューを推奨しておりますが、その間は意思決定すべき課題がまとまっていないため、後の参集でも問題無いと考えています。
意思決定訓練
意思決定訓練は、BCP発動時に意思決定を行うイメージトレーニングするための、役員向けの訓練です。
災害が起きた時、最初の2時間ほどは傷病者や被害対応への意思決定がメインになると考えられますが、その後6時間後では取引先への連絡や帰宅困難者対応、2日後には各種支払いや操業開始への各種調査と、意思決定する内容が変化していきます。
そういった状況を想定したシナリオに沿って、災害対策本部が各時間帯に何をするべきかをイメージトレーニングします。
機能別、想定別の防災訓練の一例
役割別の実戦的な訓練だけでなく、機能別、想定別の防災訓練を実施することもあります。
グループワーク
グループワーク訓練は、意見交換などコミュニケーションを重視した防災訓練です。災害条件や課題を設定し、複数人のグループで「取るべき対応」「改善策」を話し合います。
グループワーク訓練ではコミュニケーションが多くなるため、一人ひとりが災害対策について考える良い機会となります。また、話し合いの中で思いがけない視点に出会うことで、災害対応計画やBCPをブラッシュアップする際にも役立ちます。
なるべく多くの全員が意見を出せるような雰囲気作りやグループ分け、進め方に気をつけましょう。
噴火を想定した訓練
火山噴火の被害は想像が難しいかもしれませんが、決して無視はできない災害のひとつです。
火山噴火の場合、火山周辺では噴石、溶岩流、火砕流、火山ガスなどの被害があげられますが、火山灰は数100Km先まで被害が及び、数週間継続する場合もあり、交通やインフラの麻痺といった影響を受けます。
交通網や物流、電気、水道などインフラで事業が継続できない状況を想定した訓練が適切といえるでしょう。
火山噴火の影響についてはこちらの記事もご参考ください。
水防防災訓練
大雨による浸水などを想定した水防訓練では、ハザードマップの確認によるリスク調査や社内共有、大雨や台風予報時の情報収集体制や勤務体制の検討、土嚢や止水板の設置訓練、重要な備品や書類等の荷上げ、避難・誘導、浸水後の片づけ等を確認してみましょう。
水害は河川の決壊・氾濫による浸水以外にも、町の排水能力が追い付かずマンホール等からあふれてしまう内水氾濫による被害もあります。
水害、土砂災害の影響についてはこちらの記事もご参考ください。
不審者対応訓練
過去には車両突入や刃物切り付け、放火などで大きな被害を受けた企業の例があります。
オフィスや工場付近、受付や社内に不審者や暴漢が迫ってきた場合の訓練も防災訓練の一部として検討されてはいかがでしょうか。
警察への通報手順や扉の施錠、パーテーション等のハード面の見直し、侵入された場合の避難方法(逃げる、隠れる、戦うの3原則)などをは通勤途上などでも役に立つスキルです。
地震体験訓練
地震の強い揺れを擬似体験する訓練です。
消防署などに依頼して「起震車」を読んで体験するほか、最近では民間企業で屋内に設置できる「地震ザブトン」や「VR」提供しているところもあり、臨場感のある地震体験ができるものもあります。
消防機器、防災用品操作訓練
会社で購入した工具類や蓄電池、照明や衛星電話や無線機など使用しないまま倉庫に眠らせていないでしょうか?定期的に稼働させないとバッテリーが劣化して使えなくなったり、そもそも使い方を誰も知らないということになりかねません。
どこかのタイミングで、個別に機器類のチェックや使用方法の確認をするだけでも立派な訓練になります。
また、ビルや建屋に備えられている非常ベルや屋内消火栓、防火扉(シャッター)や排煙窓も管理会社に協力してもらい、できる範囲で使ってみましょう。
これらの消防設備は、非常時には誰でも使える(使っていい)設備です。いざという時に躊躇なく使用できるよう練習しておきましょう。
自治体が市民向けに実施する防災訓練
ここまで企業が実施すべき防災訓練を紹介しましたが、自治体やマンション等でも市民向けに様々な防災訓練が行われます。
休日夜間や在宅勤務中に災害が発生することも考えられます。企業で同様の防災訓練を実施する必要性は高くありませんが、自治体の防災訓練に参加し、自宅で被災した場合のシミュレーションや周辺住民との協力ができるようにしておくとよいでしょう。
以下に自治体が市民向けに実施する防災訓練の例を紹介しますのでご参考ください。
避難所訓練
高齢者等避難または避難指示が発表された設定で、避難所の開設や泊まり込みの対応を行う訓練です。
炊き出し訓練
食料調理の炊き出しの訓練です。自治体や消防団の協力のもと、ライフライン、水道・ガス・電気が途絶した等の想定で行います。
住民協力要請の訓練
自治体の職員や消防隊員が現場に駆けつけられず、住民からの提供情報を判断材料としなければならない場合があります。その際、「何を」「どこに」「どのように」情報提供してもらい、「誰が」提供情報を収集・確認するか予め決めておくことで、デマや混乱を少なく情報提供してもらいやすくなります。
避難所運営ゲームHUG(ハグ)
避難所運営ゲーム「HUG(はぐ)」は、災害時の避難所の運営を体験できるカードゲーム形式の防災訓練です。ルールは、カードには避難者の特徴が書かれた避難者カードと、災害時に発生する事象が書かれたイベントカードがあります。プレイヤーは次々に配られるカードを避難所に見立てた図面に避難者カードを配置していきます。さまざまな事情を抱えた避難者が殺到する状況をどのように対処していくかを疑似体験できるゲームとなっています。
(参考:https://www.pref.shizuoka.jp/bosaikinkyu/sonae/earthquake/bosaicenter/1003638/1043919/1030041.html)
発災対応型防災訓練
一般的な防災訓練が「会場型防災訓練」と呼ばれるのに対し、この「発災型防災訓練」は、街中を訓練会場として行う実践的な防災訓練です。「シナリオのない防災訓練」ともいわれます。
街中の各所で模擬災害として火災や建物倒壊、負傷者が発生させます。参加者は遭遇する模擬災害に他の参加者と協力し、臨機応変に消火活動や救助を行います。
実際に起こりうると想像しやすく、非常時の判断力や対応を高めることができる実践的な防災訓練です。
(参考:https://www.fdma.go.jp/relocation/e-college/cat66/cat62/cat57/3-25.html)
災害図上訓練DIG
災害図上訓練DIGは、地図を用いて災害をイメージしたり災害時の行動を検討する防災訓練で、DIGはDisaster(災害)、Imagination(想像力)、Game(ゲーム)の頭文字です。
参加者は与えられた条件や被災状況をもとに議論を交えながら地図に避難経路などを書き込み、どのような行動をとるか、必要なものは何かなどを考えていきます。この訓練を通して災害、まち、人を知り、防災意識や住民同士の連携、自助を高めることができます。
(参考:
https://www.fdma.go.jp/relocation/e-college/cat66/cat62/cat57/3-25.html)
災害対応カードゲーム「クロスロード」
クロスロードはカードゲーム形式の防災教材です。阪神・淡路大震災で実際に問題となった「災害対応のジレンマ」がカードゲーム化されています。
各プレイヤーは問題カードに対してYesかNoを選び一斉にオープンし、多数派のプレイヤーは青座布団を、一人だけのプレイヤーは金座布団を獲得でき、他のプレイヤーは何ももらえません。それを繰り返し一番多くの座布団をもらったプレイヤーが勝ちとなるゲームです。
ゲームの勝敗とは関係なく毎回座布団の配当を終えたらYes、Noを選んだ理由を聞いたり問題について議論します。この議論を通して多くの視点や価値観を知ることができ、シンプルながらも防災教育や状況判断を鍛えることができます。
問題カードには「人数分の非常食がない時、先にある分だけ配るか?」「深夜12時に洪水の危険があるとして避難勧告が出た。今すぐ避難するか?」など、判断が難しい問題となっています。
ゲームの勝敗はあっても問題に対する正解はありません。メンバーを変えたり、オリジナルの問題を作成してみるのもいいのではないでしょうか。
過去にレスキューナウのアドバイザリーサービスの中でも実施した事例もある訓練方法です。
図上シミュレーション訓練
図上シミュレーション訓練はロールプレイング形式の防災訓練です。
災害時に予想される事案・状況等を記述したシナリオを、進行管理者(コントローラー)から訓練参加者(プレイヤー)に与え、それに対し(あるいはそれを前提に)プレイヤーが意思決定・役割行動をすることにより訓練を進行させます。
<シナリオの例>
〇月〇日〇曜日の午前9時、あなたは職場へ出勤し業務を開始した。突然大きな揺れを感じ、デスクからは書類が落ちキャビネットが大きな音を立て倒れ、従業員の悲鳴も聞こえる。揺れが収まると周囲は物が散乱して酷い有様である。
プレイヤーへ事前にシナリオは知らされていないため、実践的な訓練となります。災害時用のツールを導入している場合はツールも活用しながら、臨場感をもって行うと良いでしょう。
シェイクアウト訓練
シェイクアウト訓練は地震を想定したアメリカ発の防災訓練です。予め専用サイトに登録した参加者が、決められた日時に届くメールやアプリ通知を合図にその場で防災訓練を実施し、地震発生時に自分自身や周りの人を守るための行動を学ぶことができます。
シェイクアウト訓練の合図で行う安全確保の動作
- 1.Drop(姿勢を低く)
その場で姿勢を低くして、飛来物の衝突を避けます。屋外にいる場合は飛来物のリスクが低い場所へ移動します。
- 2.Cover(頭と首を守る)
落下物から頭を守るため、机の下に潜ります。机がない場合はカバンで頭を保護します。
- 3.Hold on(動かない)
姿勢を低くして頭を守った状態で、揺れが収まるまでじっとしています。
ほぼ毎週全国どこかの地域でシェイクアウト訓練が実施されています。比較的簡単に参加できますので、お住まいの地域でも実施されている場合はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
すぐ役に立つ防災訓練サイト・教材
様々な防災訓練を紹介しましたが、実際に訓練の実施計画を立てたり行ったりする際に役立つサイトも紹介します。サイト内で紹介されている防災訓練の実施方法を真似して行ったり、動画視聴させることで社内の啓蒙に役立てるなど活用できます。
自動向けの紙芝居動画や豆知識などキャッチーなコンテンツもありますので、一度覗いてみてはいかがでしょうか。
- 東京消防庁 電子学習室
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/learning/contents/mokuji.html
- 東京消防庁 公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCWRcJ3aBe2n6SI0Jlt66jKA
- 総務省消防庁 防災・危機管理eカレッジ
https://www.fdma.go.jp/relocation/e-college/index2.html
- 国土交通省 防災教育ポータル
https://www.mlit.go.jp/river/bousai/education/index.html
- 消防防災博物館
https://www.bousaihaku.com/disaster_prevention/
よくあるご質問
Q. 防災訓練を実施するにあたっては、どのような準備が必要ですか?
A. 防災訓練を実施する際には、事前に防災訓練の目的、種類や実施場所、日程や人員などを決定し、参加者には事前に通知するようにしましょう。
Q. 防災訓練を実施する頻度はどの程度が良いですか?
A. 防災訓練は、1年に1回以上、数回行うことが望ましいとされています。9月1日の防災の日や3月11日などメモリアルデーに防災訓練を実施する企業が多いです。
夏の風水害シーズンや冬の大雪シーズンなど、毎年災害が発生しやすい時期以前に防災訓練を実施できているとより良いです。
Q. 防災訓練にはどのような効果がありますか?
A. 防災訓練を実施することで、参加者は災害時に必要な行動を知ることができ、混乱を避け、素早い対応が可能になります。
また、改善点が見つかれば、それを踏まえてより効果的な対策やBCPの修正を行うことができます。
まとめ
防災訓練は、災害が発生した際に被害を最小限に抑えるために必要不可欠なものです。とくに企業にとっては従業員の従業員の安全を確保し、いかに通常業務へ戻せるかか重要になります。
通常業務の合間を縫って防災訓練を行うため、実施や参加が難しいかもしれませんが、目的と役割を明確にした防災訓練を行い備えを整えることで、万が一の災害にも冷静に対応できるようになります。
レスキューナウのアドバイザリーサービスでは、実践的な防災訓練のサポートを行っています。
実施事例などもご紹介可能ですので、防災訓練を実施したい…マンネリ化している…実施するだけで振り返りができていない…などでお悩みの方はお気軽にご相談ください。
▽企業の防災訓練についてのご相談はこちら