新型コロナの最新状況 新変異株「BA.2.86」とは
※本記事は、2023年8月29日時点の情報を基に執筆しています。
この記事の目次[非表示]
- 1.新型コロナの最新状況
- 2.「BA.2.86」とは
- 3.変異数とは
- 4.スパイクタンパク質とは
- 5.企業は「BA.2.86」をどう捉えるべきか
- 6.基本的な感染対策とは
- 7.効果的な換気方法とは
- 8.最後に
新型コロナの最新状況
新型コロナウイルスの感染者数が8週間ぶりに増加傾向に転じています。お盆休みにより移動が活発化したことで、感染者数が5類移行後で最多となっています。
さらに、変異株の新系統「BA.2.86」が世界中で話題になっています。この変異株は、世界保健機関(WHO)やアメリカ疾病対策センター(CDC)が「監視下の変異株」に分類したことで、注目されています。
「BA.2.86」とは
「BA.2.86」とは、イギリス、デンマーク、スイス、アメリカ、イスラエルなどで感染が確認されている新しい変異株です。
アルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株、オミクロン株など、これまでたくさんの変異株が登場してきましたが、なぜ「BA.2.86」が世界中で話題になっているのでしょうか。
それは、従来の株と比較したときに変異している部分が非常に多いためです。アルファ株やデルタ株は従来株と比較して変異している数が10個程度でしたが、オミクロン株はスパイクタンパク質だけで30か所以上も変異していました。
今回の「BA.2.86」もスパイクタンパク質だけで33か所、ゲノム配列全体だと45か所も変異していました。そのため、オミクロン株が大流行したときと同じく、多くの感染者を出すのではないかと懸念されています。
変異数とは
変異数とは、従来のウイルスと比較したときに、変異している部分の数のことです。
変異数が多ければ多いほど、感染力や病原性などウイルスの性質が変わっている可能性があります。そのため、従来の抗体では効かない可能性(免疫回避性)も高くなり、一度感染した人が再感染したり、従来のワクチンでは効かなくなる可能性が高くなります。
特に、感染力に大きく関係するスパイクタンパク質と呼ばれる部分が変異している場合、爆発的に感染者の数が増える可能性が高くなります。
スパイクタンパク質とは
コロナウイルスの構造は、スパイク(S)、エンベロープ(E)、膜(M)、ヌクレオカプシド(N)タンパク質の4つの構造タンパク質で構成されています。
コロナウイルスの特徴は、冠のような形をした突起物(スパイクタンパク質)がある点です。このスパイクタンパク質を使用して宿主細胞上のタンパク質に結合し、侵入します。
スパイクタンパク質がウイルスの付着、融合、侵入に最も重要な役割を果たしているため、ワクチン開発の研究などではターゲットとして機能すると言われています。
つまり、このスパイクタンパク質が大きく変異してしまうことで、免疫やワクチンなどが無効化されてしまう可能性が高くなります。
画像:BECKMAN COULTER「SARS-CoV-2スパイクタンパクの医学的価値」
企業は「BA.2.86」をどう捉えるべきか
特段パニックになる必要はなく、従来と同じく基本的な感染対策を継続して行うことが重要です。
国内で感染が拡大してから3年半もの月日が経っており、企業側も従業員側も感染対策のノウハウが蓄積されているはずです。
従来通りの感染対策や体調管理を行い、社内でのクラスター防止に努めましょう。
基本的な感染対策とは
基本的な感染対策は、換気、手指消毒(手洗い、アルコール消毒)、うがい、マスク着用、検温などが該当します。すでにご存じとは思いますが、改めて復習して、疎かになっている部分がないかチェックすることも大切です。
効果的な換気方法とは
「5類移行」に伴い出社率をビフォーコロナの状態まで戻した企業も多いと聞いています。
いままで以上にオフィスや会議室の換気が重要になってきています。特に真夏や真冬は窓を開けることが難しい季節のため、意識的に風の流れを作ることをオススメします。
なお、目安となるCO2濃度は、1000ppm以下と言われています。
以下、換気方法を3つ紹介いたします。
機械換気
機械換気とは、24時間換気システムや換気扇などを利用した換気方法です。
空気の流れをつくるために、換気扇から離れた窓やドアを開けましょう。
窓やドアから外気を入れて換気扇から排出するイメージで換気を行うと効果が高まります。
自然換気
自然換気とは、換気扇などを利用せず、窓やドアを開けることで換気をする方法です。
自然換気では、対角線の窓やドアを開けましょう。また、換気扇などがない部屋においては、扇風機やサーキュレーターを活用することもオススメです。執務エリアなど大きな部屋では、サーキュレーターで空間全体に空気の流れを作ることも有効です。
窓を開ける頻度は、30分に1回以上、数分間程度窓を全開にすることが推奨されています。
なお、扇風機などを設置する場合は、空気の出口となる窓やドアの近くに、外向きで置きましょう。空気の出口は、人が多いエリアが風下になるような位置にすると効果が向上します。
空気清浄機
窓がない部屋や夏場等で窓が開けられない状況のときは、空気清浄機がオススメです。※弊社も感染者数が多い時期には、空気清浄機をレンタルしてオフィス内で使用しておりました。
なお、空気清浄機を選ぶ場合は、エアロゾル(空気中に浮遊する微小の粒子)を捕集できるものでないと効果が限定的になります。HEPAフィルタ付のものをお選びください。
空気清浄機を設置する場合は、空気を取り入れる格子状フィルタがある面を向けて設置することで効果が向上します。
手洗いやマスクの着用などについては、下記ブログ記事もご覧ください。
「感染防止策の最新情報」(2022年5月14日公開)
最後に
現段階では、大きく行動様式を変えるよりは、基本的な対策を徹底することが重要だと考えます。
換気、うがい、手洗い等を正しい方法で実施することで、ビジネスのスピードや効率を落とさず、社内でクラスターを防止することは十分可能です。
そして、何よりも体調管理が一番の感染対策になります。まだまだ暑い日が続きますが、しっかりと栄養を摂り、睡眠時間を確保してくれぐれもご自愛ください。