JアラートとLアラートの違い
「Jアラート」と「Lアラート」は、危機管理の分野で重要な役割を果たすアラートシステムです
このふたつのアラートシステムを正しく理解することで、さまざまなリスクの高まりをタイムリーに把握することが可能となります。
本記事では、「Jアラート」と「Lアラート」の基本的な概要と、それらの違いについて詳しく説明します。
この記事の目次[非表示]
- 1.JアラートとLアラートの違い
- 1.1.発信元の違い
- 1.2.対象となる情報の種類の違い
- 2.Jアラートとは
- 3.Jアラートで伝達される情報
- 3.1.地震情報(6種類)
- 3.2.津波情報(3種類)
- 3.3.火山情報(3種類)
- 3.4.気象情報(7種類)
- 3.5.有事関連情報(5種類)
- 4.Jアラート情報の入手方法
- 4.1.携帯電話
- 4.2.ラジオやテレビ
- 4.3.インターネット・報道メディア
- 5.Lアラートとは
- 6.Lアラートで伝達される情報
- 6.1.情報発信者からの情報
- 6.2.情報発信者以外からの情報
- 7.Lアラート情報の入手方法
- 7.1.地元自治体や関係機関のウェブサイト
- 7.2.災害対策アプリやメールサービス
- 7.3.報道メディア
- 7.4.サイネージ
- 7.5.Lアラートの情報伝達者になる
- 8.Lアラートの仕組み
- 9.情報伝達者になる方法
- 10.最後に
- 10.1.企業の危機管理担当者さま向け
- 10.2.自社サービスやサイネージに表示させたい方向け
JアラートとLアラートの違い
「Jアラート」と「Lアラート」は、発信元や対象となる情報の種類などが異なります。
発信元の違い
「Jアラート」は政府や防災関連機関からの情報を、「 Lアラート」は地元の自治体や関係機関からの情報を伝えます。この違いにより、発信される情報の範囲や詳細度に差が出ます。
対象となる情報の種類の違い
「Jアラート」は、国家的なリスクや災害の発生、重要な政府の発令など、国民全体を対象にした情報を全国単位で発信しています。
一方、「Lアラート」は、地域の避難情報や避難所情報など、地元の住民に役立つ情報を地域ごとに発信しています。
「Jアラート」と「Lアラート」の詳細については、下記にてそれぞれ見ていきます。
Jアラートとは
全国瞬時警報システム(Jアラート)とは、弾道ミサイル情報、緊急地震速報、大津波警報など、対処に時間的余裕のない事態に関する情報を携帯電話等に配信される緊急速報メール、市町村防災行政無線等により、国から住民まで瞬時に伝達するシステムです。(総務省消防庁)
2004年度より総務省消防庁が整備を進め、2007年度より一部の地方公共団体から順次運用開始されました。2009年には地方公共団体に限らず、公共機関や公立学校・公立病院などでも受信が可能となりました。
画像:総務省消防庁「全国瞬時警報システム(Jアラート)の概要 」
Jアラートで伝達される情報
「Jアラート」で伝達される情報は、気象庁が発信する防災気象情報と、内閣官房が発信する国民保護に関する情報に大別され、合計で24種類の情報が伝達されています。
地震情報(6種類)
緊急地震速報、震度速報、震源・震度に関する情報、東海地震予知情報、東海地震注意情報、東海地震調査情報
津波情報(3種類)
大津波警報(特別警報)、津波警報、津波注意報
火山情報(3種類)
噴火警報(一部は特別警報)、火口周辺警報、噴火予報
気象情報(7種類)
気象等の特別警報(大雨、大雪、暴風、暴風雪、波浪、高潮)、気象警報(大雨、洪水、大雪、暴風、暴風雪、波浪、高潮)、気象注意報(16項目の気象注意報)、土砂災害警戒情報、竜巻注意情報、記録的短時間大雨情報、指定河川洪水予報
有事関連情報(5種類)
弾道ミサイル情報(主に北朝鮮によるミサイル攻撃)、航空攻撃情報(いわゆる空襲警報)、ゲリラ・特殊部隊攻撃情報、大規模テロ情報、その他の国民保護情報
Jアラート情報の入手方法
現状、Jアラートの情報を民間企業が直接入手することは出来ず、下記で発信された情報を自力で収集する必要があります。
携帯電話
「Jアラート」は、携帯電話による緊急警報としても利用されます。政府や関連機関から発信された「Jアラート」は、携帯電話の緊急警報システムを通じて、国民に通知されます。
ラジオやテレビ
Jアラート情報はラジオやテレビでも放送されます。緊急時には、公共の放送局が緊急情報を迅速に伝えるために活用されます。
インターネット・報道メディア
Jアラート情報は、政府や関連機関のウェブサイトや報道メディアでも提供されます。公式ウェブサイトやニュースサイトを定期的にチェックすることで、最新の情報を入手することができます。
Lアラートとは
Lアラート(Local alert)とは、「災害情報共有システム」の登録商標名称であり、市町村が発信した災害時の避難指示など地域の安全・安心に関するきめ細かな情報をテレビやインターネットなどの事業者と共有し、かつ広く地域住民に迅速かつ効率的に提供することで、速やか避難の実現と災害の低減につなげるものです。(一般財団法人マルチメディア振興センター)
2011年6月に一部の地域で運用が開始され、2019年4月より全都道府県で運用されています。総務省が普及・利活用を促進していますが、運営は一般財団法人マルチメディア振興センターが担当しています。
Lアラートで伝達される情報
Lアラートで伝達される情報は、情報配信者から発信される避難情報・避難所開設情報などと、情報発信者以外から発信される防災気象情報・国民保護関連情報などに大別されます。
情報発信者からの情報
- 避難情報
- 避難所情報
- 一時滞在施設情報
- 災害対策本部設置情報
- 被害情報
- お知らせ(ガスの停止、交通情報などを含む)
- イベント情報
- 水位周知河川
- 停電情報
- 断水情報
- 通信障害情報
情報発信者以外からの情報
- 気象特別警報、警報、注意報
- 土砂災害警戒情報
- 指定河川洪水予報
- 地震情報
- 津波情報
- 火山情報
- 国民保護関連情報(Jアラートで伝達される情報)
注)国民に広く避難情報を伝達するシステムのため、情報発信者以外からの情報のみを利用することは認められません。
Lアラート情報の入手方法
地元自治体や関係機関のウェブサイト
多くの地域では、災害時の情報を地元の自治体や関係機関のウェブサイトで提供しています。公式ウェブサイトを定期的にチェックして最新の情報を入手することができます。また、ポータルサイト等でも情報を入手することができます。
災害対策アプリやメールサービス
地域によっては、災害対策アプリやメールサービスを通じてLアラート情報を配信しています。これらのアプリやサービスに登録することで、重要な情報を受け取ることができます。
報道メディア
Lアラート情報は地元の報道メディアでも報道されます。テレビ、ラジオ、新聞などの報道機関は、災害時の情報を迅速に伝えるために情報を収集し、放送や記事として提供します。
サイネージ
街中に設置されているデジタルサイネージ等からも情報を入手することができます。
Lアラートの情報伝達者になる
「情報伝達者」として申請し、許諾されれば、 Lアラートの情報をデータで入手できます。自社のサービスで利用したい、自社のシステムに組み込みたい等の場合は、こちらの方法になります。
Lアラートの仕組み
「Lアラート」に関わる組織は、主に情報発信者と情報伝達者・協力事業者などに分かれます。
画像:一般財団法人マルチメディア振興センター「Lアラートの主な仕組み」
情報発信者とは
情報発信者とは、地方公共団体やライフライン事業者など、地域住民の安心・安全に関わる公共性の高い情報を保有し、Lアラートに情報を発信する組織・事業者のことです。(一般財団法人マルチメディア振興センター )
2023年8月10日現在、運用試験中や準備中の利用者も含めると計502利用者います。
情報伝達者とは
情報伝達者とは、放送事業者や携帯電話事業者、ポータルサイト事業者、新聞社などLアラートから情報を取得し、地域住民に対して情報を伝える組織・事業者のことです。(一般財団法人マルチメディア振興センター )
情報伝達者は、「特定情報伝達者」と「一般情報伝達者」に分かれます。
特定情報伝達者は情報を伝達する者のうち「メディア」に該当する企業、一般情報伝達者は「メディア以外」の企業になります。
特定情報伝達者は計754利用者、一般情報伝達者は計158利用者います。
協力事業者
協力事業者には、「一般協力事業者」と「特定協力事業者」に分かれます。
一般協力事業者はLアラートを自社サービスで活用しているシステムベンダー等、特定協力事業者はLアラートの情報を加工して提供する企業になります。
一般協力事業者は計44利用者、特定協力事業者は計9利用者います。なお、株式会社レスキューナウは、特定協力事業者です。
特別利用者
特別利用者は、計2利用者(総務省、防災科学技術研究所)。
情報伝達者になる方法
システム構成図、連絡体制図などを提出し、許諾されれば無料で利用できます。
ただし、一般財団法人マルチメディア振興センターは、あくまで「システム運用主体」という立ち位置であり、情報の責任は情報伝達者側が持つことになります。
そのため、情報の補正(修正・加工など)を行える運営体制が無い場合は、特定情報伝達者を経由してデータ配信してもらう等の必要があります。
最後に
レスキューナウは、Lアラートの特定協力事業者として、さまざまな方法で情報を配信しています。詳しくは、下記よりご覧ください。