令和6年能登半島地震から考える企業の防災対策
こんにちは、レスキューナウです。
2024年は年明けから石川県能登地方で大きな地震が発生し、対応に苦慮された方もいらっしゃったのではないでしょうか。
この記事では2024年1月1日に発生した地震に関する情報をまとめました。
ぜひ災害対応の振り返りや今後の災害対策のご検討にお役立てください。
また、今回の地震により被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、被災地の一日も早い復興をお祈りしております。
この記事の目次[非表示]
- 1.令和6年能登半島地震
- 2.令和6年能登半島地震による被害状況
- 2.1.人的・住家被害
- 2.2.火災発生件数
- 2.3.ライフラインへの影響
- 2.4.交通機関への影響
- 3.令和6年能登半島地震から考える企業の防災対策
- 3.1.マンパワーのみに頼った情報収集の見直し
- 3.2.帰宅困難への備え
- 3.3.要救助者発生への備え
- 4.いつ起こるかわからない災害・危機に備える
令和6年能登半島地震
2024年1月1日(月)16時10分頃、石川県能登地方を震源とする地震(マグニチュード7.6、最大震度7)が発生し、北陸地方を中心とした広範囲で甚大な被害が発生しました。
能登地方では令和2年(2020年)12月から地震活動が継続しており、気象庁は今回の地震を含め、令和2年12月以降の一連の地震活動について、その名称を「令和6年能登半島地震」と定めました。
令和6年能登半島地震による被害状況
気象庁の発表によると、今回の地震では石川県輪島市、羽咋郡(はくいぐん)志賀町(しかまち)で最大震度7を観測したほか、石川県七尾市、珠洲市、鳳珠郡(ほうすぐん)穴水町で震度6強を観測するなど、能登地方の広範囲で大きな揺れが観測されました。
【震度5弱以上を観測した市町村】
震度7 |
石川県 :輪島市、志賀町 |
---|---|
震度 |
石川県 :七尾市、珠洲市、穴水町 |
震度 |
石川県 :中能登町、能登町 新潟県 :長岡市 |
震度 |
石川県 :羽咋市、宝達志水町、金沢市、小松市、加賀市、かほく市、能美市 |
震度5弱 |
石川県 :白山市、津幡町、内灘町 |
発生場所は石川県能登地方(輪島の東北東30km付近)で震源の深さは16km、発震機構は北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型(左右から大きな圧力が加わり、断層面を境に一方が乗り上げる形の断層)となっています。
また、石川県能登では長周期地震動4が観測されました。
〇長周期震動階級とは…
高層ビル内における、地震発生時の人の行動の困難さの程度や、家具などの移動・転倒被害の程度の大きさを表した指標
※出展:気象庁
今回の地震が発生した1日16時10分頃から2日18時00分までの間に、震度1以上を観測した地震の回数は218回(震度7:1回 震度5強:4回 震度5弱:6回 震度4:23回 震度3:64回 震度2:75回 震度1:45回)となっています。
加えて、気象庁は石川県能登に大津波警報、山形県から兵庫県北部にかけて津波警報、その他日本海沿岸に津波注意報を発表しました。
輪島港(港湾局)観測点で1.2m以上、金沢(港湾局)観測点で0.9m(いずれも速報値)など、北海道から九州にかけての日本海側で津波を観測しています。
なお、この地震によって発表されていた津波警報・注意報は、2日10時00分にすべて解除されています。
【津波による警報、および注意報が発表された地域】
大津波警報 |
石川県能登 |
津波 |
山形県、新潟県上中下越、佐渡、富山県、石川県加賀、福井県、兵庫県北部 |
津波注意報 |
北海道太平洋沿岸西部、北海道日本海沿岸北部、北海道日本海沿岸南部、青森県日本海沿岸、秋田県、京都府、鳥取県、島根県出雲・石見、隠岐、山口県日本海沿岸、福岡県日本海沿岸、佐賀県北部、壱岐・対馬 |
▼地震や大津波警報・津波警報に関する情報について、レスキューナウが提供するレスキューWeb MAPでは以下のように被害状況とマップが紐づいた状態で確認できました。
人的・住家被害
消防庁の発表によると、今回の地震による死者数は1月31日14時00分時点で238名、負傷者数は1,526名(重傷:319名 軽傷:969名)となりました。
死者数は平成以降に日本付近で発生した地震の中では、2011年の東日本大震災、1995年の阪神・淡路大震災、2016年の熊本地震に次いで4番目に多い数値です。
また、石川県の発表により亡くなった方のうち1月25日までに氏名や年齢などが公表されている129名をみると、約9割の死因は家屋倒壊による圧死とされています。
建物の被害件数は1月31日14時00分時点で26,541棟(全壊:2,306棟 半壊:3,269棟 床上浸水:6棟 床下浸水:19棟 一部破損:20,941棟)となっています。
※出典:内閣府「令和6年能登半島地震による被害状況等について」
火災発生件数
火災被害については、3つの県で合計17件(新潟県:1件 富山県:5件 石川県:11件)の発生が報告されました。
国交省の発表によると、発生した火災のうち大規模な市街地火災に発展した輪島市河井町での火災の焼失区域の面積は約50,800平方メートルで、区域内に含まれる建物の数は約300棟と推定されています。(最終的な被害規模については,焼損面積および焼損棟数が消防により確定)
火災の延焼の速さは20~40m/h 程度で、弱風時の地震火災である1995年阪神・淡路大震災における市街地火災と同程度と推測されています。
※出典:内閣府「令和6年能登半島地震による被害状況等について」
ライフラインへの影響
今回の地震により、北陸地方の広範囲で大規模な断水や停電が発生しました。
断水は一時最大で約11万7000軒となりましたが、一部解消済みで最大値から約64%が復旧しています。
また、停電は一時最大で約4万8930軒となりましたが、こちらも一部解消済みで最大値から約95%が復旧している状況です。
断水や停電の詳しい復旧状況についてはレスキューナウのまとめ記事をご覧ください。
交通機関への影響
新幹線は上越新幹線の越後湯沢-新潟間と北陸新幹線の長野-金沢間で運転見合わせがありましたが、いずれも1月2日の午後に全線で運転を再開。
在来線は北陸をはじめとする中部や東北エリアのJR・私鉄で12事業者34 路線の運転見合わせがありました。
空の便も欠航が相次ぎ、全日本空輸(ANA)で計16便、日本航空(JAL)で計9便、その他3便が欠航。
2日も全日空(ANA)で8便、日航(JAL)1便、その他1便が欠航しました。
その他、北陸地方の高速道路では一部区間で通行止めや速度制限が実施されるなど、年末年始の交通網に大きな打撃を与えました。
令和6年能登半島地震から考える企業の防災対策
今回の地震は2024年の元日に発生したこともあり、対応に追われた危機管理担当者の方も多かったかと思います。
以下の表は気象庁のサイトをもとに東日本大震災以降に発生した震度6強以上の地震をまとめたものになりますが、令和6年能登半島地震を含めた近年の大きな地震の多くは夜間や休日に発生していることがわかります。
※赤字は一般的な業務時間外、赤背景の白抜き文字は土日祝かつ夜間に発生した地震
洪水や台風、大雪などの災害は事前情報によりある程度の予測ができますが、突発的に発生する地震を予測することは様々なテクノロジーが発達した現代においても非常に困難です。
そのため、災害がいつ発生しても大丈夫なように不測の事態に対して日常的に備えておくことが大切です。
ちなみに、帝国データバンクが実施した能登半島地震の影響と防災に関する企業アンケートによると、今回の地震を経験した企業の約95%が「企業防災」の重要性を再認識したということが明らかになっています。
本章では弊社がお客様からよくいただくお声や今回の地震をもとに、おすすめの防災対策をご紹介します。
マンパワーのみに頼った情報収集の見直し
災害が発生した際は、いかにスピーディかつ適切な対応ができるかにより事業継続の明暗が分かれます。
気象・ライフライン・交通・避難など、刻一刻と変化する被災状況を正確に把握するためには、様々な情報が必要です。
しかし、必要な情報を手動で集めることや、集めた情報を自社の拠点や取引先と照らし合わせながら事業に影響があるのかを確認するのは非常に時間と労力のかかる作業です。
特に今回のように休日に災害が発生した場合は、勤務時間外であってもテレビやネットを監視しなければならず、担当者の方には大きな負担となります。
遠隔地の災害に気づかずに対応が遅れてしまうことや、収集した人によって情報のばらつきが生じてしまうことを防ぐためにも「どのように情報を収集するか」を改めて社内で確認しておくことが大切です。
レスキューナウでは、災害発生時に確認が必要な「安否情報」「拠点情報(社内情報)」「危機管理情報」の3つの情報を素早く収集するためのサービスを提供しております。
昨年には「安否状況」「拠点情報」「危機管理情報」をすべて統合し、経験の浅い方や中小企業などで複数の役割を兼任されている危機管理担当者様でも使いやすいオールインワン危機管理サービスをリリースいたしました。
また、引き続き各情報の収集に特化したサービスも提供しておりますので、ぜひこちらもご検討ください。
帰宅困難への備え
今回の地震による被害は停電よりも断水の軒数の方が多いという特徴があります。
断水時には「洗面や入浴ができない」「調理ができない」といったことが起こりますが、中でも特に困るのが「トイレを使うことができない」ということです。
従業員が社内で待機しなければいけない場合を想定して食料などの防災備蓄を備えている企業・団体は多いですが、意外と忘れがちなものがトイレです。
仮にオフィスビルで上水道が使えたとしても、ビル内の下水管や下水道、汚水処理場などが損傷している場合はトイレ後に水を流すことはできません。
過去の災害では、安心・安全かつ衛生的な環境で用を足すことができない状態が続き、体調を崩してしまうという事例も起きています。
災害時における従業員の安全確保を確保するうえで、食料のみならず生活用品などの防災備蓄についても今一度見直しておくことを推奨します。
レスキューナウの防災用品カタログでは選び方のポイントやオススメ商品を掲載しておりますので、ご参考ください。
また、今すぐのご購入を検討されている方はオンラインショップをご活用ください。
要救助者発生への備え
大規模な地震が発生した際は、社内や現場で要救助者が発生することが想定されます。
今回の地震は家屋倒壊などを主な原因として、死者238名、負傷者数1,526名(1月31日14時00分時点)という多くの人的被害を生むこととなりました。
要救助者が発生した際は、数秒~数分の判断が生存率を大きく変えると言われていますが、災害時に実際に動ける自信がないという方も多くいらっしゃいます。
また、災害発生時は交通機関のストップなどにより救急車が現場に到着するのが遅れてしまう可能性があり、病院搬送後も重傷者の対応が優先されるため、なかなか手当を受けられないかもしれません。
そのため、要救助者が発生した時を想定して、一人でも多くの人が目の前で倒れている人を救えるように定期的に訓練を実施することが重要です。
レスキューナウでは、初めての方でも簡単・手軽に実効性の高い訓練を実施できるように、防災訓練に必要なすべてを同封したキットを提供しております。
加えて、形骸化してしまった防災訓練をより高度で実践的なものにするために、経験豊富なアドバイザーがサポートするサービスも提供しておりますので、ぜひご相談ください。
いつ起こるかわからない災害・危機に備える
今回の令和6年能登半島地震が年明けの元日であったように、災害や危機はいつどこで発生するかわかりません。
そのため、災害や危機いつ発生しても大丈夫なように不測の事態に対して日常的に備えておくことが大切です。
レスキューナウは設立から約20年の間、企業の皆様の防災・BCPにかかわる課題解決、脱属人化・自動化をお手伝いしてまいりました。
BCP訓練やマニュアル策定に始まり、防災備蓄、安否確認、事業所の被害報告・確認、サプライチェーン・BCP全般、災害・危機情報リアルタイム配信など、様々なサービスをご提供しておりますので、お困りの際はぜひお気軽にお問い合わせください。