水害や土砂災害の避難で活用される「警戒レベル」
■この記事の情報は、2019年8月1日現在の情報です。
今年の5月29日から、警戒レベルの運用が開始されました。7月初旬に九州南部で発生した大雨の際などに、テレビのニュースで「警戒レベル3」「警戒レベル4相当」という用語を目にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。 昨年起きた西日本豪雨を受けて始まった警戒レベルについて、弊社所属の気象予報士に話を聞きました。
※2021年5月20日、避難情報は大幅に変更されました。
変更後の「警戒レベル」と「警戒レベル相当」の対応表はこちら▼
この記事の目次[非表示]
- 1.警戒レベルが発表されたら何をすれば良いのか?
- 1.1.警戒レベル1・警戒レベル2の場合
- 1.2.警戒レベル3・警戒レベル4の場合
- 1.3.警戒レベル5の場合
- 2.そもそも警戒レベルとは
- 2.1.なぜ警戒レベルが導入されたのか?
- 2.2.警戒レベルは誰が発表するのか?
- 3.避難で使う警戒レベル3・4・5の伝えられ方
警戒レベルが発表されたら何をすれば良いのか?
警戒レベルは、災害時の避難など身を守るために発表される情報を、5段階で示すものです。情報を警戒レベル1から5まで(5が最高)で示し、災害の危険を分かりやすくかつ取るべき行動を端的に伝えるために始まりました。
ここでは、各レベルの段階でどのような行動を取るべきかを説明します。
警戒レベル1・警戒レベル2の場合
警戒レベル1と2は、気象庁が発表する早期注意情報や気象注意報などが該当します。災害への心構えを高め、災害に備える段階です。
特に警戒レベル2では、「どこへ避難するのか考える」「ハザードマップを見る」など、実際に避難する時を想定した確認をしましょう。
警戒レベル3・警戒レベル4の場合
実際の避難行動を取る段階です。実はここが、もっとも大切な段階です。
警戒レベル3の情報として、市区町村から「避難準備・高齢者等避難開始」が発令され、高齢者避難、障害者の方、乳幼児や、その支援者が避難を開始します。その他の人も、避難先で使う持ち物や必要な道具などを準備し、いつでも避難が出来るよう、準備を進めましょう。
警戒レベル4については、市区町村から「避難勧告」「避難指示(緊急)」が発令され、速やかに避難所への避難をします。
なお、避難所に行く=避難ではありません。避難場所まで行く道が危険で、自宅の方が安全と考えられるならば、自宅に留まることも一つの方法です。その場合、自宅内でより安全な場所に留まりましょう。
例えば大雨の場合に自宅に留まるならば、2階以上に上がる(垂直避難)、崖から少しでも離れた部屋に留まる(水平避難)も有効です。その後、天候や避難所までの様子を見て、より安全な行動を取ってください。
警戒レベル5の場合
警戒レベル5は、既に災害が発生している状況です。命を守るための最善な行動が求められます。状況を判断して、最善の行動を取ってください。
なお、「既に災害が発生した」とは、川の堤防が決壊した、堤防を超えて水が溢れたなどの状況が想定されていますが、今の所実際に発表された例はありません(2019年8月1日現在)。
警戒レベル導入を伝えるチラシ。「警戒レベル4で全員避難!!」というフレーズが目立つ(内閣府防災情報ページより引用)
そもそも警戒レベルとは
ここでは、警戒レベル導入の経緯や目的、発表の主体について説明します。
なぜ警戒レベルが導入されたのか?
去年大きな被害が発生した西日本豪雨(平成30年7月豪雨)で、気象庁、都道府県、市区町村が、多数の防災に関する情報を発信していました。しかし情報の種類が多く、住民が何をしたら良いのかわからない状態になっていました。
その状態を踏まえ、行動を直感的に理解できるための指標として、5段階の警戒レベルが導入されたのです。 5段階に整理されたので、住民も対応策を5パターン考えておけば良い、と言えます。
警戒レベルは誰が発表するのか?
警戒レベル1・2は、気象庁が発表する気象に関する情報です。
警戒レベル3・4・5は、市区町村が発令する避難に関する情報です。 特に、実際に避難行動につながる警戒レベル3以上の情報を、お住まいの市区町村ではどのように発表されるのか、日頃からチェックしておきましょう。
避難で使う警戒レベル3・4・5の伝えられ方
ここでは、警戒レベル3・4・5の情報がどのように伝えられるのかについて説明します。
警戒レベルはどうやって伝えられるのか?
最初にお断りすると、現時点ではまだ「警戒レベル」という表現が必ず使われるとは限りません。従来からの「避難勧告」「避難指示(緊急)」という表現のみを用いられる場合もあります。自治体の災害情報を集約し、マスコミやポータルサイトなどに一括配信する「Lアラート」というシステムも、来年警戒レベルに対応する予定です。
警戒レベル3・4・5の情報は、自治体のホームページなどに掲載されるほか、テレビ・ラジオでも放送されます。
特に、市区町村が発表する避難情報は、市区町村の防災無線による放送や、住民向け緊急速報メール(エリアメール)で伝えられます。市区町村が送る防災情報メールも活用できます。必要な地域やジャンルの情報が災害時に送られてくるよう、事前に登録しておきましょう。
また、Yahoo!などのポータルサイトにも掲載されます。日頃から、情報を得やすい手段を考えて、確認しておきましょう。
何が一番速く警戒レベルを伝えるのか?
市区町村が直接発信する情報(防災無線やエリアメール)が、もっとも速く伝わる手段です。この他、気象庁や自治体のサイト、インターネット上のポータルサイトを確認する方法もあります。
広い範囲の情報を確実に得たい場合は、Lアラートを通じて発信されるテレビの情報を見るのも手段です。また、最近はスマートフォンのアプリでも提供されるようになりました。プッシュ通知で素早く情報を得られます。
(わかりにくい点)警戒レベルと「警戒レベル相当」の違いは?
報道などで警戒レベルと同時に「警戒レベル相当」という言葉が使われている場合があります。ではこの警戒レベル相当とは何なのでしょうか。特に、警戒レベル3以上の状況で両者の情報が発表されますので、その場面を見てみます。
住民に対して避難行動を指示できる権限を持つのは、市区町村の長です。従って、警戒レベル3・4・5に当たる避難情報は、市区町村が発表します。同時に気象庁は、市区町村や住民の判断を促す情報として、災害の情報を発表します。この情報が「警戒レベル相当」とされる情報です。
気象庁が「警戒レベル3相当」の情報を発表した段階で、"相当"する「警戒レベル3」の避難情報が市区町村から発表される可能性が高くなりますが、最終的には、市区町村が実際の状況を鑑みて「警戒レベル3」の避難情報を発令する、というしくみです。
■リンク 政府広報オンライン「「警戒レベル4」で全員避難です! 防災情報の伝え方が5段階に」 https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201906/2.html
レスキューナウにも「警戒レベルに対応した配信をしないのか?」というお問い合わせが多数寄せられています。警戒レベルの運用、特に警戒レベル5は「災害発生情報」として新たに定義されたばかりで、現時点ではどのように運用されるのかはっきりせず、配信の実例もありません(2019年8月1日現在)。
今後、警戒レベルの運用が定着し、危機管理情報として取り扱い可能となり次第、当社サービス(レスキューWebやコンテンツシェアサービスなど)でも対応する予定です。
※2021年5月20日、避難情報は大幅に変更されました。
変更後の「警戒レベル」と「警戒レベル相当」の対応表はこちら▼