【関東大震災から100年】3つの震災から学ぶ
2023年9月1日で関東大震災から100年が経ちます。
「関東大震災」「阪神淡路大震災」「東日本大震災」の3つに注目してみました。
首都直下地震や南海トラフ地震などの対策を検討する際、過去の大震災の流れを参考にするのもオススメです。
→ 2024年8月8日(木) 宮崎県で震度6弱の地震が発生し、南海トラフ地震臨時情報が運用開始以来初めて発表。その翌日、関東甲信でも大地震。神奈川県で3年ぶりとなる震度5弱の地震が発生しました。南海トラフ地震のリスクが高まる中、企業がとるべき対応を紹介しています。
この記事の目次[非表示]
- 1.関東大震災(1923年9月1日)
- 1.1.人的被害
- 1.2.建物被害
- 1.3.関東大震災の特徴
- 1.4.特記事項
- 1.5.この震災を契機に変わったこと
- 2.阪神淡路大震災(1995年1月17日)
- 2.1.人的被害
- 2.2.建物被害
- 2.3.阪神淡路大震災の特徴
- 2.4.特記事項
- 2.5.この震災を契機に変わったこと
- 3.東日本大震災(2011年3月11日)
- 3.1.人的被害
- 3.2.建物被害
- 3.3.東日本大震災の特徴
- 3.4.特記事項
- 3.5.この震災を契機に変わったこと
- 4.関東大震災から100年の特設サイト
- 5.最後に
関東大震災(1923年9月1日)
相模湾北西部を震源とする海溝型地震で、マグニチュードは7.9。
影響範囲は、北関東を除き関東地方の広範囲に及びました。
人的被害
190万人が被災し、死者・行方不明者は10万5,000人(推定)に上りました。
建物被害
建物被害は約10万9,000棟が全壊し、約21万2,000棟が全焼しました。
関東大震災の特徴
最も多かった死因は「焼死」であり、死亡者の約87%が火事に巻き込まれて亡くなったと言われています。
これは、地震が発生した時間がちょうど昼食時だったこと、台風により関東地方全域で強い風が吹いていたこと等が重なり、大規模な火災が発生したためです。
特記事項
通信・交通手段が遮断され、伝聞情報に頼らざるを得ない状態が続き、デマも拡散されました。デマが拡散されたことにより、朝鮮人が大虐殺される痛ましい事件も発生しています。
この震災を契機に変わったこと
避難生活を強いられた人も多かったが、当時のメディアは新聞しかなかったため、情報を入手することが難しかったと言われています。そのため、震災後にラジオ放送が始まった際には、急速に普及したと言われています。
阪神淡路大震災(1995年1月17日)
兵庫県淡路市(明石海峡の深さ16km)を震源とする直下型地震で、マグニチュードは7.3。
震度7が初めて適用された震災でもあります。※震度階級が導入されたのは1949年
影響範囲は、兵庫県南部と局所的な地域となりました。液状化した面積は約10㎢。
人的被害
死者・行方不明者は6,437人に上り、東日本大震災が発生するまでは戦後最悪の自然災害と言われていました。
建物被害
建物被害は約10万4,906棟が全壊し、約7,036棟が全焼しました。
阪神淡路大震災の特徴
最も多かった死因は「圧死」であり、死亡者の約83%が倒壊した建物の下敷きになる等して亡くなったとみられています。
これは、地震が発生した時間が早朝だったため、まだ就寝中の者も多かったためです。
一方、火を使っている人は少ない時間帯だったこと、風が穏やかだったことが重なり、「焼死」は全体の13%弱に留まりました。
特記事項
当時、日本でもインターネットの商用・個人利用が少しずつ始まっており、被災状況や安否情報の発信に活用されました。
また、全国から140万人のボランティアが駆けつけたことから「ボランティア元年」と言われています。この震災を契機に自助・共助のあり方が変わったとみられています。
亀岡断層(京都府亀岡市)で震度7の余震が起こるというデマが流布され、亀岡市周辺でスーパーの商品の買い占めが起こる等が発生しました。
この震災を契機に変わったこと
- 初動対応が遅れたことが問題視されたため、官邸における緊急参集チームの設置等の政府の初動体制の整備がされた。
- 建物の倒壊による死者が多かったため、建築物の耐震改修促進法が制定された。
- 当時は震災で住宅を失った者であっても私有財産に公費を投じるという考えはなかったが、これに対して公的補償を望む声が多数あり、被災者生活再建支援法が制定された。
東日本大震災(2011年3月11日)
三陸沖の深さ24kmを震源とする海溝型地震で、マグニチュードは9.0(日本国内観測史上最大)。
影響範囲は、東北地方および関東地方の広範囲に及んでいます。液状化した面積は約42㎢。
人的被害
死者・行方不明者は、2万人以上に上りました。
戦後の自然災害で死者・行方不明者が1万人を超えた唯一の災害です。
建物被害
建物被害は、12万9,391棟が全壊しました。
東日本大震災の特徴
最も多かった死因は「溺死」であり、死亡者の約90%は津波に巻き込まれたことにより亡くなってしまっています。
また、この津波の影響で福島第一原発においてメルトダウンが発生。この事故は、国際原子力事象評価尺度で最悪のレベル7と評価されており、チェルノブイリ原発事故と同等に位置づけられています。
特記事項
カメラ付き携帯電話やスマートフォンが普及している時代だったこともあり、被災地の状況が詳細に記録され、インターネット上等に上げられていました。
電話がつながらない時間帯が長く続いたため、SNS等のインターネットを活用したコミュニケーションが注目された。日本で圧倒的なシェアを誇るLINEも東日本大震災を契機につくられたと言われています。
この震災を契機に変わったこと
- 大規模地震の被害想定や対策の見直し
- 原子力規制委員会の設置等の原子力政策の見直し
- 災害対策基本法の改正
- 国による大規模災害時における復興の枠組みの整備
- 企業における安否確認サービスの普及
- 企業におけるBCP策定率の上昇
関東大震災から100年の特設サイト
・気象庁:https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/1923_09_01_kantoujishin/index.html
・内閣府:https://www.bousai.go.jp/kantou100/
・NHK:https://www.nhk.or.jp/shutoken/kantoshinsai/index.html
最後に
3つの震災を並べてみると、地震が起きた時期や時間帯によっても起こり得る被害が異なってくることがわかります。
首都直下地震や南海トラフ地震なども予想されているため、過去の震災を見ながら対策を考えていくことも有効です。