災害対策基本法とは?災対法の概要と最近の改正内容の解説(2023年9月施行)
こんにちは。レスキューナウです。
2023年9月に災害対策基本法の一部改正が施行されました。
今回は災害対策基本法の概要や、2023年5月、2023年9月公布の改正内容について解説します。
この記事の目次[非表示]
- 1.災害対策基本法の概要
- 1.1.防災に関する理念・責務について
- 1.2.防災に関する組織について
- 1.3.防災計画について
- 1.4.災害対策の推進について
- 1.5.被災者保護対策について
- 1.6.財政金融措置について
- 1.7.災害緊急事態について
- 2.2021年5月の改正内容(公布・施行ともに5月)
- 2.1.災害時における円滑かつ迅速な避難の確保について
- 2.1.1.避難勧告・避難指示の一本化について
- 2.1.2.個別避難計画の作成について
- 2.1.3.国の災害対策本部の設置や広域避難における居住者受け入れについて
- 2.2.災害対策の実施体制の強化について
- 3.2023年5月の改正内容(公布:5月、施行:9月)
- 4.まとめ
災害対策基本法の概要
災害対策基本法は、日本の災害対策の法的基盤を提供する法律です。
この法律の目的は、国土や国民の生命、そして身体や財産を災害から保護することで、社会の秩序と公共の福祉の確保に資すること、とされています。
参考リンク:
以下、7つの項目について概要を解説します。
防災に関する理念・責務について
まず、災害対策の基本理念を示しています。減災の考え方などの基本的な内容を紹介し、
国や都道府県、市町村、指定公共機関がすべき責務、つまり、防災に関する計画の作成や実施、相互協力にも言及されています。
住民等の責務については、自らの災害への備えや生活必需品の備蓄、自発的な防災活動への参加が促されています。
防災に関する組織について
総合的防災行政の整備や推進として、組織が規定されています。
まず、国としては、中央防災会議や、特定・非常・緊急の災害対策本部の設置があります。
そして、各都道府県や市町村においては、地方防災会議や災害対策本部の設置についてです。
防災計画について
計画的防災対策の整備や推進のための項目です。
まず、国の中央防災会議では防災基本計画が策定されます。
そして、指定行政機関や指定公共機関では防災業務計画が策定され、
都道府県や市町村では地域防災計画が策定されます。
市町村の居住者も地区防災計画を策定する必要があります。
災害対策の推進について
法律では、国や地方自治体が災害対策を積極的に推進することが明記されています。
予算の確保や技術の開発など、多角的な取り組みが求められます。
災害予防や応急対策、災害復旧に至るまで段階ごとに、各実施責任主体の果たすべき役割や権限を規定しています。
地方自治体においては、市町村長による一義的な災害応急対策(避難指示など)の実施や、大規模災害時における都道府県・指定行政機関による応急措置の代行について規定されます。
被災者保護対策について
避難所の設置や生活支援など、被災者の安全と安心が最優先です。
被災者の保護に関する具体的な措置も法律で定められています。
避難行動要支援者名簿や、個別避難計画の事前作成が規定され、
他にも広域避難や物資輸送の枠組みや、災害時における避難所や避難施設に関する基準も示されています。
罹災証明書、被災者台帳の作成を通した被災者支援策もこの項目でご確認いただけます。
財政金融措置について
災害時の財政や金融に関する措置も法律で規定されています。迅速な資金の供給や財政支援についてですが、
法律に規定された対策の実施については実施責任者が負担する、とされており、
ただし、激甚な災害が発生した場合の国による財政上の措置についても規定されています。
災害緊急事態について
災害が発生した場合、政府は災害緊急事態を布告することができます。これにより、迅速かつ効果的な対策が取られます。
政府の閣議決定により対処の基本方針が決められ、生活必需物資の配給等の制限や金銭債務の支払猶予、海外からの支援受入れに関する緊急政令の制定、特定非常災害法の自動発動などの緊急措置がとられることになります。
災害対策基本については内閣府の防災情報ページをご参照なさってください▼
2021年5月の改正内容(公布・施行ともに5月)
災害時における円滑かつ迅速な避難の確保について
2021年5月の改正では、災害時の避難手順の円滑化と迅速な確保が重要な焦点でした。
避難勧告・避難指示の一本化について
改正により、避難勧告と避難指示が一本化され、明確な指示が市民に届けられるようになりました。避難情報のあり方を包括的に見直すこととなりました。
これまでは、本来避難すべき避難勧告のタイミングで避難せず、逃げ遅れによって被災する人が多数発生していたことが課題でした。
住民アンケートでも避難勧告と避難指示の違いが十分に理解されていないことが分かっていました。
そこで、避難勧告と避難指示を一本化し、従来の避難勧告の段階から「避難指示」を行うことになりました。
これによってもちろん企業においても「避難指示」が発令されたら、従業員はすぐに避難が必要です。すぐその場を離れられない状況が会社では想定されるでしょうが、従業員の命を一番に考えた対応マニュアルを整備しておき、いざというときに速やかに避難できるような意識共有も必要になります。
個別避難計画の作成について
個別避難計画とは、避難行動要支援者(高齢者、障がい者など)ごとに、避難支援を行う人や避難先などの情報を記載した計画のことです。
平成25年に作成が義務化された避難行動要支援者名簿は、全国の市町村の約99%で作成され普及が進みましたが、未だに多くの高齢者が災害の被害を受けている状況で、避難の実効性の確保に課題がありました。
そこで、今回の改正で、避難行動要支援者の円滑かつ迅速な避難を図るために、個別避難計画について市町村に作成の努力義務化がなされました。
国の災害対策本部の設置や広域避難における居住者受け入れについて
災害発生のおそれがある段階において、国の災害対策本部の設置を可能とする規定が設けられました。
また、市町村長が居住者などを安全な他の市町村に避難(広域避難)させるに当たって必要となる市町村間の協議を可能とするための規定を措置しました。
災害対策の実施体制の強化について
災害対策基本法の改正により、災害対策の実施体制が強化されました。
具体的には
- 非常災害対策本部の本部長を内閣総理大臣に変更
- 防災担当大臣を本部長とする特定災害対策本部の設置
- 内閣危機管理監の中央防災会議の委員への追加
といった強化が行われました。
最近の改正については以下内閣府のサイトもご参照ください▼
2023年5月の改正内容(公布:5月、施行:9月)
災害対策基本法により、緊急通行車両以外の車両の、道路における通行を禁止したり、制限したりできるのですが、
その緊急通行車両のうち政令で定めるもの(※)については、災害が発生したなどの場合のみ、該当しているかの確認が行われていましたが、
今回の改正では、災害が発生する前から災対法施行令に基づく確認が行うことができるようになりました。
※)政令で定めるものとは、災害応急対策に従事する人や災害応急対策に必要な物資を、緊急輸送したり、その他の災害応急対策を実施するために運転中の車両をさしています。
まとめ
災害対策基本法について、その概要や直近の改正内容を解説しました。
自社の災害対策についてお悩みをお持ちの方、セカンドオピニオンが欲しい方はレスキューナウの課題相談窓口(無料)にご相談ください。