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日本海側を中心に大雪の予想|大雪をもたらすJPCZ・南岸低気圧とは?

こんにちは。レスキューナウです。


週末にかけて日本海側を中心に大雪が予想されることについて、 気象庁と国交省から警戒の呼びかけがされており、この先も2月頃にかけて本格的な雪のシーズンが続きます。


日本で降る雪の原因は日本海側と太平洋側で大きく異なるため、それぞれの特徴について理解し、どのような被害が起こるかを把握しておくことが重要です。


本記事では、近年よく耳にする「JPCZ」や「南岸低気圧」といったワードに着目しながら、大雪の要因や事例について詳しく解説します。

この記事の目次[非表示]

  1. 1.日本海側と太平洋側で降る雪の特徴
  2. 2.日本海側と太平洋側の大雪の要因
  3. 3.JPCZによる大雪の事例
  4. 4.南岸低気圧による大雪事例
  5. 5.JPCZや南岸低気圧という言葉を耳にしたら…


日本海側と太平洋側で降る雪の特徴

日本海側では、日本の西にシベリア高気圧、東に低気圧がある、いわゆる西高東低(冬型)の気圧配置の時に雪が降ります。

大陸から吹き出す冷たく乾燥した空気が日本海を通る際に比較的暖かい海面(暖流の対馬海流)から熱や水蒸気が供給され、発生した雪雲が日本海側の地方に流れ込み、雪をもたらします

一般的に寒気が強く、風速が強いほど大雪になりやすいのですが、日本海側の雪雲は本州を縦断する高い山脈に遮られるため、太平洋側にはなかなか届きません。


冬型の気圧配置がもたらす大雪の概念図|気象庁


一方、太平洋側では、日本の上空に冷たい空気が存在している状況で本州の南岸を低気圧が進んだ時に雪が降ることが多いです。

一般的に低気圧の中心に向かって吹き込む北寄りの風が冷たい空気を引き込むことで地上付近の気温が下がり、太平洋側の地方に雪をもたらします

また、気温だけでなく湿度も大きく関係しており、気温がある程度高めでも、湿度が低ければ雪となる可能性があります。

日本海側と太平洋側の大雪の要因

冬の大雪は、防災上特に注意が必要な気象現象の一つです。


日本海側で大雪をもたらす要因として特に危険な現象は、日本海寒帯気団収束帯(Japan sea Polar air mass Convergence Zone)、通称「JPCZ」と呼ばれます。

特に冬季に発生しやすく、日本海側の豪雪地帯では重要な気象要因の一つとされています。

シベリア付近にある高気圧から日本海へ流れ込む冷たい風が、朝鮮半島北部にある白頭山で南北に分かれ、日本海で再び合流することでJPCZと呼ばれる収束帯(風が集まる線状のエリア) が形成されます。

すると、その収束帯に沿って雪雲が発達しやすくなり、特に北陸地方や東北地方などの日本海側に次々と流れ込むことで大雪につながります


一方、太平洋側で注目すべき現象は、日本の南海上や本州の南岸を東~北東に進む低気圧、いわゆる「南岸低気圧」です。

冬から春先辺りまでの間は、冬型の気圧配置が緩んだ時にたびたび発生します。

九州から関東の太平洋側に雪を降らせる雪雲の多くは、この南岸低気圧によってもたらされるわけです。

南岸低気圧に伴う雨や雪の予報は、低気圧の通るコースとともに降水をもたらす雲域の広がり方についての正確な予測も必要となるため、予報が難しい場合が多くなります。

また、大雪となるかどうかは、低気圧の発達度合い、進路や速度、気温の低下、湿った空気の流れ込みといった気象条件で大きく変わってきます

気象庁がホームページ上で「予報が難しい現象について(太平洋側の大雪)」と公表していることからも、南岸低気圧は余程の「予報官泣かせ」な気象現象であることが見て取れます。


JPCZによる大雪の事例

最近のJPCZによる大雪の事例としては、2024年1月23日~25日頃にかけての大雪があります。


この期間中に冬一番の強さの寒気が流れ込むと予想されたため、前日1月22日に国土交通省と気象庁が共同で大雪に対する緊急発表を行い、不要不急の外出を控えるように求めるなど警戒を呼びかけました。


実際に、北陸地方や東海地方、近畿北部、山陰を中心にJPCZに伴う発達した雪雲がかかり続け、福井県や滋賀県に「顕著な大雪に関する情報」が発表されました。


岐阜県や滋賀県では3時間や6時間の降雪量で観測史上1位の値を更新した地点もあるなど、短い時間に雪の降り方が強まり、名神高速道路では岐阜県の関ケ原インターチェンジ付近で2日間に渡って大規模な車両滞留が発生するなどの被害がでました。


南岸低気圧による大雪事例

最近の南岸低気圧による大雪の事例としては、2024年2月5日~6日にかけて関東甲信地方の広い範囲で降った大雪があります。


2月4日夜に東シナ海で発生した低気圧は、四国の南を発達しながら東北東へ進み、5日夜には伊豆諸島付近へ進みました。


また、関東甲信地方の上空には地上で雪を降らせる程の強さの寒気が流れ込んだため、5日昼~6日午前にかけて広い範囲で大雪となりました。


5日~6日までの期間最深積雪は、長野県や山梨県などの多い所で30cm前後、東京都心でも一時8cmの雪が積もりました。

東京都心での1cm以上の積雪は、2022年2月11日に2cmを観測して以来、東京23区に大雪警報が発表されたのは、2023年2月10日以来のことでした。


このときも国土交通省と気象庁は共同で記者会見を行い、南岸低気圧による大雪に対しての警戒を呼びかけました。

国土交通省は、2022年の大雪によって首都高速道路などで大規模な立往生が起きたことを教訓に、関東・首都圏における広い範囲で前例のない最大規模の道路の予防的通行止めを実施したことでも話題になりました。


JPCZや南岸低気圧という言葉を耳にしたら…

ここまで日本海側と太平洋側で降る雪についての違いや大雪の主な要因となるJPCZ・南岸低気圧について解説し、それぞれがもたらした実際の大雪事例を紹介してきました。

JPCZや南岸低気圧が冬場における危険な気象現象であることをご理解頂けたのではないかと思います。


もし日々の天気予報や報道などでJPCZや南岸低気圧という言葉を耳や目にしたら、近々大雪の可能性があるかもしれないと警戒心を強め、まずは気象庁が発表する最新の情報を確認するようにしましょう。

気象庁では、 早期天候情報 → 早期注意情報 → 大雪注意報 → 大雪警報 → 大雪特別警報 というように、大雪のおそれに応じて2週間前から数時間前まで段階的に発表されます。

これらの気象情報は企業の防災を考える上でも非常に参考になるかと思いますので、大雪や暴風を伴う雪に対して早め早めの行動をとれるよう、ぜひ役立ててみてください。


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