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キーワードで読み解く阪神・淡路大震災

こんにちは、レスキューナウです。

神戸市をはじめ兵庫県を中心に死者・行方不明者6400人あまりという甚大な被害をもたらした阪神・淡路大震災。


今年2025年は、この阪神・淡路大震災から30年の節目の年となります。


1月17日の現地では、明け方から各地で追悼行事が行われ、震災の記憶を忘れないために多くの方が参列し、黙とうを捧げました。


阪神淡路大震災 1.17のつどい 会場の様子|弊社スタッフ撮影


戦後の高度経済成長期を経た大都市を襲った初めての大きな地震でもあり、明らかになった課題もたくあん合ったこの地震。


そこで今回は、いくつかのキーワードをもとに阪神・淡路大震災を振り返りながら、今一度、地震への備えについて考えていきたいと思います。

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この記事の目次[非表示]

  1. 1.阪神淡路大震災の概要
    1. 1.1.地震概要
    2. 1.2.人的被害
    3. 1.3.物的被害など
  2. 2.初めて適用された「震度7」
  3. 3.地震によって出現した「活断層」
  4. 4.災害弔慰金の支給対象となった多くの「災害関連死」
  5. 5.見直された耐震基準「旧耐震・新耐震」
  6. 6.広く認識されるようになった「通電火災」の危険性


阪神淡路大震災の概要


阪神淡路大震災 1.17のつどい 会場の様子|弊社スタッフ撮影

地震概要

  • 地震発生時刻:1995年(平成7年)1月17日05:46

  • 発生場所(震源位置):淡路島北部(震央地名:大阪湾) 北緯34度36分 東経135度02分 深さ16km

  • 地震の規模(マグニチュード):M7.3

  • 各地の震度

震度7

兵庫県神戸市須磨区鷹取・長田区大橋・兵庫区大開・中央区三宮・灘区六甲道・東灘区住吉、芦屋市芦屋駅付近、西宮市夙川付近などのほぼ帯状の地域や、宝塚市の一部および淡路島の東北部の北淡町、一宮町、津名町の一部の地域


※地震発生直後に行った気象庁地震機動観測班による現地被害状況調査の結果判明

震度6

神戸、洲本

震度5

豊岡、彦根、京都

※このほか、震度4~1の揺れを東北から九州にかけての広い範囲で観測


阪神・淡路大震災(平成7年(1995年)兵庫県南部地震)の震度分布|出典:気象庁「震度データベース検索」

人的被害

  • 死者:6434人

  • 行方不明者:3人  

  • 負傷者:4万3792人

物的被害など

  • 住家全壊:10万4906棟

  • 住家半壊:14万4274棟

  • 住家一部損壊:39万0506棟

  • 停電:約260万戸(ピーク時)

  • 断水:約130万戸(ピーク時)

  • ガス供給停止:約86万戸(ピーク時)

  • 電話不通:30万回線超(ピーク時)


初めて適用された「震度7」

阪神・淡路大震災(地震名称は「平成7年(1995年)兵庫県南部地震」)は、震度7が適用された初めての地震でした。

震度階級は、明治時代から長らく震度0から震度6の7段階でしたが、1948年6月28日に発生した福井地震で、ほとんどの家屋が全壊するような地域があるなど、従来の震度6の想定を大きく上回るような被害が発生。

そのことから、福井地震後に家屋倒壊率30%以上などを基準とする震度7が新たに設定されました。

しかしながら、震度7の判定は気象庁の現地調査によって家屋の被害状況を確認した上で適用される運用となっていたため、阪神・淡路大震災では、実際の震度7の適用は早いところで地震発生3日後の1月20日、最終判定は2月上旬までかかり、震度に応じた災害初動対応に役立てることが難しいという課題が浮き彫りになりました。

さらに、当時の震度計測は震度6以下の場合でも、各気象台の職員が体感や周囲の状況から推定して発表しており、職員の経験に基づく主観的な側面の強いものでした。

こうしたことを踏まえ、気象庁は1996年4月以降、震度7も含めたすべての震度を計測震度計を使って自動的に観測し、発表するようになりました

また、1996年10月以降は、震度6と震度5が震度6強、震度6弱、震度5強、震度5弱に分割され、現在の10段階の震度階級が整備されました。


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地震によって出現した「活断層」

阪神・淡路大震災では、地震によって淡路島北部に野島断層が出現し、現在は「野島断層保存館」(兵庫県淡路市)で、地震によって生じた断層による地面のずれを観察することができます。

こうした断層は日本各地に分布しており、特に数十万年前以降に繰り返し活動し、将来も活動すると考えられる断層のことを「活断層」と呼んでいます。

野島断層もこうした活断層の一つです。

活断層は、一定の間隔で繰り返し活動するものの、活動の間隔は1000年から数万年と非常に長いことが特徴です。

また、国内では2000以上の活断層が見つかっていますが、活断層の痕跡が必ずしも地表に現れているわけではないため、未知の活断層が数多くあるとみられます。

政府の地震調査研究推進本部では、2025年1月現在での国内の活断層の評価結果を発表し、それぞれの活断層の地震発生確率を示しています。

地震発生確率が注目されがちですが、2016年4月に発生した熊本地震のように、30年以内の発生確率が不明、あるいはほぼ0~0.9%の評価がされていた活断層でも地震は発生します

活断層が存在していること自体が、その地域で大きな地震の発生する可能性があることを認識しておく必要があります。



主要活断層の評価結果(2025年1月15日公表) |地震調査研究推進本部


災害弔慰金の支給対象となった多くの「災害関連死」

阪神・淡路大震災では、地震による建物の倒壊や火災による直接的な原因だけではなく、震災後の過労や避難生活による環境の悪化などによる病死などの二次的な犠牲者が「災害関連死」(当時は「震災関連死」)として初めて認められ、災害弔慰金の支給対象となりました。

阪神・淡路大震災の死者6434人のうち約900人がこの災害関連死とされています

災害関連死の基準は各災害の事例によっても異なりますが、災害の発生から長期間経過しても認められるケースが増えてきました。

また、2011年の東日本大震災では、福島第一原子力発電所事故による避難に関連した死者が災害関連死として認められたケースも多くありました。

もっとも、災害関連死を少しでも減らせるよう、避難所や避難生活の環境改善や避難者への十分なケア・サポートが求められるところです。


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見直された耐震基準「旧耐震・新耐震」

阪神・淡路大震災では、建築物の築年代によって被害の差が大きく現れました。

このことを紐解く鍵となるのが「旧耐震」・「新耐震」と呼ばれる建築基準法上の耐震基準の変更です。

1981年5月までのいわゆる「旧耐震」では、最大震度5程度(当時)の揺れで倒壊・崩壊しないような基準は設けられていたものの、それを上回るような大きな揺れを伴うような地震についての耐震基準の規定はありませんでした。

これが1981年6月以降のいわゆる「新耐震」では、震度5強程度の揺れを伴う地震では軽微な損傷程度、震度6強~震度7程度の揺れを伴う地震においても倒壊・崩壊しないような基準に改められました

なお、阪神・淡路大震災で特に木造家屋に大きな被害が生じたことを受けて、2000年6月以降は新耐震基準がさらに強化され、木造家屋については、地盤に応じた基礎の設計、基礎と柱の接合部の強化、耐力壁の配置などの仕様が盛り込まれました。

賃貸物件を選ぶ際には、物件の築年代や建築物の構造などに注意する必要があります。


広く認識されるようになった「通電火災」の危険性

阪神・淡路大震災では、神戸市長田区などで大規模な火災が発生しましたが、中でも注目されたのが、地震発生から数時間後、あるいは翌日以降に発生した火災でした。

いずれも電気機器に関連したもので「電気火災」と呼ばれますが、特に「通電火災」の危険性が広く認識され始めました。


通電火災には、地震による停電が復旧した際に、地震の揺れや建物の倒壊で破損した電気機器に通電したことで漏電やショートが起き出火に至るケースや、電気ストーブが通電し周辺の可燃物に引火するケースなどがあります。

地震発生後の住人不在の住宅や無人のオフィスビルなどでは、こうした通電火災が発生しても気づかれにくく、加えて地震の揺れで物が散乱している状態で火災が発生すると一気に燃え広がってしまうなど、大規模な火災につながるおそれがあります。

こうした通電火災を防ぐためには、避難する前にブレーカーを落とし、コンセントからプラグを抜いておくことが何よりも大切です。

また、大きな地震の揺れを感知すると自動的に電気を遮断する「感電ブレーカー」を設置するのもおすすめです。


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